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いつもは駅からマンションまで直結のタワーゲートを通って帰宅する、でもそこを通ると、玄関ロビーのコンシェルジュと顔を合わすことになる
今夜は誰にも愛想を振る気分になれない、なので鈴子は裏口にある住居者専用エレベーターに乗って高層階乗り換えホールに出た
ここからなら誰にも会わない、高層階専用ホールの完全なプライベート空間に入ると心から安心してホッと一息をついた、顔認証カメラが天井から鈴子の顔を捉え、緑のランプが点灯する
エレベーターはぐんぐん上昇し、鈴子の部屋がある45階に止まった
金色のドアノブにキーカードをスワイプすると電子錠がカチリと解錠してドアが開く
靴を脱いでバックを置き、広々とした洗面所に向かうとバスルームのドアを「バタン」と勢いよく開けた
「おかえり、鈴子」
温かい湯気が立ち込めてバスオイルの良い匂いのその向こう・・・
そこには浴槽一杯に泡を張ってバスタブに優雅に浸かっている定正がいた
「このシャンパン美味いな!先にやってるよ」
そう言って彼は鈴子にシャンパングラスを掲げる、モニターには本日の株式指標の動向指数が表示されていた
「おかえりなさい、出張お疲れ様です」
鈴子は定正にニッコリ微笑んで髪をあげてクリップで止めた、ブラウスのボタンをはずし、タイトスカートの横のファスナーを下げ、一糸まとわぬ裸になってバスタブに足をかけた
「少しそっちへ詰めて下さる?」
「会いたかったぞ、イタリアは散々だった、移民も多いし、飯はまずいし・・・」
しかめっ面でブツブツ言う彼を見て鈴子の心が温かくなる
クスクス・・・「ハイハイ、全部聞きますから、まずはあなたを洗わないと・・・」
「その前に君をいただく」
―ああ・・・この人が愛しい・・・―
温かい湯と定正の腕の中で首筋に這わされる唇の感覚に
鈴子は幸せに目を閉じて酔いしれた