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???「……ということで」???「幼等部まで来たな」
???「…………はぁ」
「雨話」、「桃時」、「兎白」は幼等部に来ていた。
桃時「妖怪の子に署名させたいけど……」
「待て待て!!」「きゃはは!捕まえた!」「うぇぇん!捕まった」「弱っちいなぁ!人間って!」
兎白「この子たちが署名するとは思えないな」
雨花「それに無理やりさせる訳にもいかないしね」
桃時「どうしたらして貰えるかしら……?」
桃時と兎白は考えていた。しかし、雨花はと言うと……
雨花「わたしは校内の掃除してくる」
桃時「ちょっと雨花……」
雨花はスタスタと行ってしまった。
兎白「あいつ極力子供たちと関わらないようにしてるな」
桃時「雨花……子供好きだからこそ……」
「「傷つけたくないのよね。それもよっぽど」」
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雨花「……はぁ、こんなことになるなら署名書なんて作るんじゃなかった。桃時ちゃんたちを黙らせるためにやった……」
《約束しろよ》
やっただけ……
《ここまでさせたんだ》
やっ……
《待ってるからな》
…………
《俺たちを》
《救ってくれるのを……!》
雨花「…………」
壁にコツンと頭の横部分を乗せ、そのまま壁にもたれかかる。
雨花「…………こんなはずじゃなかったんだけどな」
???「あ〜うぅぅ〜わぁぁぁぁはは!」
雨花「?」
「あっすみません!この子リリールームから抜け出しちゃったみたいで……」
???「あぁぁう!あう!!」
「こら、ダメだよ。お姉さん困ってるから」
「「灰奈(かいな)ちゃん」」
雨花「リリールーム?」
「あぁはい。ここでは赤ちゃんもお世話してるんですよ。その場所を「リリールーム」って呼んでるんです。それにしても……」
保育士さんは不思議そうに、灰奈を抱き上げる。
「灰奈ちゃん。滅多に人に懐かなくて、中々心を開いてくれないんです。ふふっ、きっと雨花さんの何かに惹かれたのかもしれませんね」
雨花「はぁ……」
灰奈「あうあう!!」
「もし良かったら抱いてみて下さい!」
雨花「それは本当に結構です」
灰奈「うぅ……うぇぇぇぇん!!」
「あぁ!どうしたの?灰奈ちゃん!泣くなんて珍しい……そんなに雨花さんに抱いて貰いたいの?」
灰奈「あう!!!!」
「あのぉ……」
雨花「…………」
灰奈「むぅぅぅぅ」
雨花「…………」
灰奈「むぅぅぅぅぅぅぅぅ」
雨花「…………っ、分かりました」
雨花は、灰奈を抱き上げる。
雨花「…………はぁ」
灰奈「あぶあうあう!」
灰奈はとても目をキラキラさせて、雨花をみつめる。
「先生あいつら揉めてるぜ」「なんかピンク髪の女をからかいがいのあるおもちゃ扱いしたらめっちゃあの女ブチ切れてて」「それでもっと周りの奴らが興奮して」「大騒動になってる〜」
生徒が先生を呼びに行く。
「な、何ですって!?確かにあの方は短気って聞いていたけど……!?あ、灰奈ちゃん良かったね!!それなら雨花さんにしばらくお任せしますね!」
雨花「は、はぁ!?」
保育士さんは騒ぎの方へ、灰奈を雨花に預けて行ってしまった。
雨花「…………そ、そんな……」
灰奈「あぅぅぅぅ!!」
雨花「外出たいの?」
灰奈「あうあうあうぁぁ!!」
雨花の腕の中で、灰奈はガラス扉の向こうに手を向ける。
雨花「はぁ……」
雨花は外に出た。近くに椅子があったのでそこに座る。
雨花「人が沢山いる外に出たいなんて変わってるね」
灰奈「あいあい!」
雨花は、ぼぉーと子供たちの様子をみる。
先程の騒動で、ブチ切れて怒っている桃時の周りには子供たちが楽しそうな目でみていた。
兎白は髪がゴムで縛られ、女の子たちの着せ替え人形扱いされている。
雨花「……楽しそう…………」
「「あめ、か」」
雨花「…………え?」
灰奈が雨花の名前を言ったのだ。
灰奈「あぁめ、か!あ、めか!ひゃはははは!」
ぽとぽと
雨花「あ、あぁぁぁぁあ……うぅぅぅ……」
灰奈「ひゃはは!!」
雨花の目には、涙が溢れ出ていた。
雨花「…………ひっぐ……ぁぁぅ!!」
桃時「雨花……」
兎白「…………」
目の前に綺麗なものがあると
泥だらけの自分を
笑い飛ばしたいような
泣き出してしまいたくなるような
そんな気持ちになる……よな
雨花「…………ひっ……ぬぅ……」
灰奈「あ、めか!!あめか!!ひゃは!」
そう
自分の名前を楽しそうに呼んでくれるその様は
どうしてこんなにも
泣きたくなるんだろう
雨花は、灰奈を抱きしめながら、ひたすら泣き続けた。仕事が終わっても、ずっと。
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雫「そうか……そんなことが……」
桃時「あれから何ですけど、雨花が……」
雨花「どうしたの?桃時ちゃん」
桃時「いやあんた……」
「「キャラ変わりすぎ!!」」
雨花「イメチェンって奴かな!ほらもうすぐ衣替えだし!」
桃時「別に良いけど……。…………」
子供の力ってすごいわね
兎白「俺も特に気にならない。雨花。署名活動はどうだ?」
雨花「それが桃時ちゃんたちが遊んでくれたおかげで、「こんなに人間が面白くて、そんな奴らと遊べるならしてやっても良い!!」って言われて幼等部の子の殆どから署名集められたよ!」
桃時「あれだけのことをして成果なしなんて絶対嫌よ!」
兎白「俺は楽しかった」
雫「ふふっ、各々ありがとう。もう帰って良いよ」
雨花・桃時・兎白「はい!・はーい・はい」
「放課後ご飯行かない?」「良いよ!」「もう夜も暗いし、近くのコンビニのフードコートでどうだ?」
雫「…………ふふっ、楽しそうな声がする」
雨花
雨花の日常に色が咲きつつあるね
どうか
雨花が幸せになりますように
雨花が────
秋ももうすぐ終わり、枯葉がゆるりゆるりと落ちていくように、秋の匂いも落ちていき、徐々に冬がやってくる。そんな時間の流れに誰も逆らうことなどできるはずもなく、みんな、冬に備えていくのであった。体も、心も。