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『やったぞ、妹よ!とうとう、異世界に転生したのでチートを駆使して無双します、の続刊が手に入ったのだ!』
『うるさい。あと私、それ嫌いだから。お兄ちゃんも、これ見る?』
ジジジ…ジ…
『ふっ、チートと無双とハーレムは世界を救う!一般的にはテンプレと呼ばれているがそれはちがーう!頭空っぽで見れると言う長所があるのだ!妹よ、お前も…』
ジジ…ジジジ…
『お帰りください。でないと塩で目をほじくるよ。いいの?』
『あー!待ってくれーっ!語らせ、』
『悪兄退散。』
『ギャーっ!?目がーっ!!??』
ジジ…
『お帰りください。』
『ギャーっ!?!?』
『お帰り…』
ジジ……ジジジ…ジ………
「くださ…い……ん?」
夢か。何か久し振りだな。前世の夢を見るのって。多分、お兄ちゃんの夢だろうか。私は五人兄弟で七人家族だった。母、父、兄、姉✕2、私、妹。完全女系なる一家。七人のうち、五人が女だからね。でもそのうちの双子の姉達は東京へ上京していったけど、兄は地元の小学校の教師でずっとうちに住んでいた。兄とは兄弟の中でも一番仲が良くて………うん、仲が良かったことにしておこう。でも一体今何をしているのだろうか。無口で無表情の私に気安く話しかけてくれた一人だし、元気にやってると思うけどね。まあ、かなりの変人だったけど。
「何が?」
横から聞き慣れた優しい声が聞こえた。私はその声の主の方に目を向ける。そうすると、声の主は私のおでこにそっと手を乗せた。
「熱は無いよね。どうしたの?」
「おかあさん。ここ、どこ?」
ここは何処、私は誰?と言う冗談は良いとして、ここは何処と言う疑問は本当だ。ここは…
「断罪のとこ。」
「だんざい?」
断罪って、あの断罪?あの、「お前との婚約を破棄する!」的なやつ?ええ?
「ええ、こう何か、婚約破棄する!って、言われて没落するところよ。まあ、実際そんな名前の場所じゃなくて私が断罪された所だから、そう呼んでるだけだけどね。」
「お、おかあさん、こんやくはきされたことあるの?おかあさんって、どんなひとだったの?」
ごめん、母よ。貴方がどれだけ隠していたかは知っているんだ。しかし、もう隠し事は無しだ。お願い!勘づいてはいるけど、話してくれ。
「ん?あるよ。」
「え。」
そんな、あっさり。マジか。ん、でもそっちの方が都合がいいからね、いいんだから!べ、べっつにー!こう、何か親子愛な展開とか、き、期待してなかったしー??
「話しましょう!私の苦労話!」
「あ。」
やばい。お母さんの目がギラギラと輝く。これ、長いパターンや。いや、正確には長くない。体感時間が長いだけで。あと、とっても、くどい。やっべーぞやっべーぞ。
「まずはね、お母さんこの国の___」
何だね、この国の何だね。てか、まずそこからか。ま、いいけど。
「___公爵家の令嬢だったのよ。それで、今の国王と婚約者だったの。でもね、__」
ああ、予想通り。、前世で言う乙女ゲーみたいな感じだったのね。いや、驚いてるよ。でも、これが一番王道だよね。
「こんやく__」
「__私は実は公爵家の娘じゃなくて、とある施設から抜け出してきた被検体5B68で、仲間達は私の為に施設から逃してくれたの。で、その仲間達が苦しい記憶を消すために私にある令嬢の魂と融合させたのよ。そんでもって、私が行く宛も無く放浪していたところを魔力の多さだけで、公爵家に拾われたの。でも、そのまま、学園に入学して王子と婚約したんだけど、王族がいち早く私の存在に気付いて私と公爵家を潰そうと私を悪役にするように仕向けたわ。まんまと私はその罠にハマって公爵家は没落。私はまた公爵家に逃がしてもらって、今の子爵家にいるのよ。でも、その前に本当の公爵家の娘が見つかったのよ。しかも、あのクッソ王子が惚れてね。浮気したのよ、あいつ。本当に最悪。こんなに事が上手く進むって、王族も思わなかったでしょーね。そして、私の中から令嬢の魂を私自身の手で消し去った、って、言うこと。王族も私が生きてる事に気付いてるだろうけど、私はもう彼奴等には敵わないからね。物理的にも、権力的にも。それに、被検体って、だけで、ただの人間だし。でも、カルフィーゲーファプログラムは世界にヒビを入れたようだし、仲間達が死んでるのは確定ね。また別の被検体に核を移してるだろうけど。」
重い!待って、正直思ってたよりも重すぎた!普通の乙女ゲーじゃ無いの?被検体?5B68?分身体?カル…何て?ナニソレオイシーノ?
「おかあさん、わかんない。」
「あ、そうよね、わからないよね。」
はい、マジのマジで分かりーせん。知らないワードがいぱーい、出てきたからね。思ってたより、この世界って、深い?
「えっとね、まあ、簡単に言えばお母さんはとある施設から抜け出してきた、スーパー凄い人間で、そのまんま、公爵家に拾われたの。でも、そこで、お母さんが今の女王をいじめたせいで、追い出されちゃったの。で、今はひっそりと身を隠しながら生きてるってわけ。」
本当にざっくりだったけど、普通の3歳児は意味わからんと思うよ、それ。
「わかった。」
「よろしい。で、今はその婚約破棄をされた場所で待機してるの。だから、もうすぐでお母さん、ちょっと行かなきゃいけないから、くれぐれも、問題起こさないように、他の貴族令嬢とお茶を飲んどくのよ。深く考えないで、飲む。いいね?」
「はい。」
駄目だ、考えるな。あの人達は何者なのか。お母さんは何者なのか。何故お茶を飲まなきゃいけんのか。他の貴族令嬢って、何なのか。考えちゃいけない。考えるな。うん、考えないぞ。無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心
「うん。」
「よしっ。」
こうして、母と子の話し合いは幕を閉じた。
アリシアナ:「そろそろ、こっちにいらしてください……あれ、どうしたんですか?二人共そんな渋い顔をして。」