テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
百合は裸のまま、無表情の顔を二人に向けたまま、身じろぎ一つしなかった
「あ~・・・と、父さん、僕の婚約者だよ・・・百合って言うんだ、今日からここに住むからね」
不安な眼差しを父に向けながら和樹が言った、しかし父が何も言わず、ただ百合を見据えているのにムッとした
彼女を気に入らないのか、裸を見たいのか・・・和樹の顔は赤みを帯び、声にもとげとげしさが加わった
「父さん!言っただろ!彼女の家が水漏れ工事の間、ここに泊めるから、気を使ってあげてよ!」
と父に挑戦するように顎を突きだした、隆二は酒で血走った目を百合からゆっくりと和樹にむけた、何やら父はとてもショックを受けて、動くことも口を開くことも出来ないらしい
和樹はウイスキーが飛び散った床と父親の顔を見比べたが、今の父は何か恐ろしい者でも見る様に百合を見つめている
百合も何も言わず胸元をシーツで隠し、父を睨むように見つめている
―息子の彼女にいやらしい目で見ているなんて?まったく・・・酔っ払いめ―
父に対して怒りと嫌悪がにじんでいた
「・・・失礼・・・」
隆二は目をそらし、疲れ切った重い足取りで部屋を出て行った、和樹が舌打ちする
「まったくいつから飲み続けてるんだかねぇ、ここん所毎晩飲んだくれてるんだ」
それから百合に向かって優しく言った
「何も心配しなくていいよ、親父があんな風に部屋に来たのは初めてだから、君が一人でいる時は鍵をかけて、出なければいいからね、親父はしょっちゅうあんな風に酔っぱらってるんだ」
二人で父が割ったグラスを片付けて温かい気持ちで再びベッドにもぐりこんだ
「ねぇ・・・さっきは邪魔が入っちゃったけど・・・もうしないの?」
百合が甘えた声で和樹にすり寄る
「しないわけないだろ」
そう言うなり和樹が百合に覆いかぶさって来た
ギシッ・・ギシッ・・・「あっ・・・あん・・・そこよ・・・和樹・・・」
必死で腰を振る和樹の背中に手を回し
ただ百合はほくそえんでじっと天井を見ていた