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第6話:母の願い

次の戦場は、草木がねじれ絡み合った不気味な荒野だった。

空はどす黒く、地平線の向こうまで岩と棘が広がっている。風に混じるのは土と血の匂い。


広瀬 伶は、長いロングヘアをひとつに結び直した。

年齢を感じさせないきりっとした顔立ちに、疲労と覚悟が滲んでいる。

白いブラウスは泥に染まり、腕には古びた数珠を巻きつけていた。


「私は……子どもと再会する。そのために、絶対に生き残る」


その言葉に隣でうなずいたのは三好 颯太。

茶色の短髪を乱し、チェック柄のシャツにジーンズ姿の青年。弱腰ながらも、伶に引きずられるように足を踏み出した。


だがすぐに襲撃が来た。

大友 渉――がっしりとした体格の警察官が影から現れ、声を張る。

「ここは危険だ! 二人だけで動くのは自殺行為だ!」


正義感に突き動かされ、彼は強引に二人を取り押さえようとした。


伶の瞳に、烈しい光が宿る。

「私には……守るものがある!」


咄嗟に拾った岩を振りかぶり、大友の頭部に叩きつけた。

鈍い音。大友の顔が歪み、鮮血が額を伝う。


「っ……やめろ!」

颯太が叫ぶ間もなく、戦闘は始まった。


大友が太い腕で伶の肩を押さえ込み、砂に叩きつける。背中に衝撃が走り、肺から息が漏れる。

その瞬間、颯太が震える手で鉄パイプを拾い、大友の脇腹を殴打した。乾いた音と共に大友の身体が揺れる。


伶はすぐに立ち上がり、ナイフを突き立てた。

刃が大友の肩を裂き、血が飛沫のように散った。大友の巨体がよろめく。


「ぐああっ……!」


必死の抵抗に、伶の目は涙で滲んでいた。

「……ごめんなさい。でも……私は生きなきゃならない!」


最後の一撃は、母の腕力ではなく“母の決意”そのものだった。

ナイフが深く沈み、大友 渉は声にならない呻きを漏らしながら地に崩れ落ちる。


静寂の中、颯太は顔色悪く伶を見つめた。

伶は震える両手を握りしめ、血に濡れたナイフを落とす。

「必ず生きて……子どもに会う。それまでは何も失えない」


母の願いは、血で塗られた誓いとなった。






サタデイ・ドリーム・デスゲーム

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