テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
アルカとの対面から、さらに一月の時が流れた。私の「再生」は順調に進み、少しずつ太陽の光を浴びる機会も増えていった。
「ねぇ、カル。」
「んー?」
「私ね、ハルカと仲直りしようと思うの。」
「…へぇーそうか。…は?」
いつもと変わらない、朝食の時間だった。
私はカルに前々から計画していたことを相談してみた。
案の定、驚かれたけれど。
「やっぱり、このままじゃ嫌なの。」
「そんなに思い入れのある奴居ないだろ。
来るもの拒まず、去るもの追わずってな。」
「残念だけど、そんなのごめんだから。
私は、ハルカとあのままでいたくない。」
真っ直ぐに彼を見て、そのままの思いを伝える。
私も、よくここまで心を開いたものだ。
出会いは最悪だったけど、今ではただ一人の相談相手になっていた。
ひと月前の私に言ったら、仰天するでしょうね。
「まぁ、お前がそこまで言うのも珍しいからな。わかった、協力してやるよ。」
「…協力?」
「ついて行ってやる。頼もしいだろ?俺が着いていくんだぜ?仲直りなんて簡単簡単。」
その自信は一体どこから湧いてくるんだか。
小さくため息を吐きながら、カップに入っている紅茶を飲み干す。
「そうと決まったら行きましょ。準備するから待ってて。」
「へーい。」
***
カルが取り憑くぬいぐるみを抱え、太陽の輝く青空の下、街道を歩く。
今日は雲ひとつない晴天で、外を歩くのも気持ちが良かった。
「…雨降りそうだな。」
「本当に?こんなに晴れてるのに…。」
「幽霊の勘ってヤツ? 何となく、雨が降る気がする。」
「そう。」
まぁ、どうせただの勘だし。
カルの言葉を気に止める事もなく、そのまま足を進める。
後方で立ち込める雨雲に、私もカルも気づくことはなかった。
***
ハルカ達を見つける頃には、空はすっかり雨雲に覆われていて、今にも雨が降りそうだった。
ハルカ達の方はと言うと、年端も行かない子供たちが蟻の行列をじっと眺めるようにして
何人かで集まって、何か話し合っている。
その光景をみて、私は嫌な予感がした。
何かが起きる、そんな予感が胸に広がっていく。
この光景に、見覚えがあったから。
忘れもしない、ヒスイが転生してきた時のあの光景に。
「あ、トウカ…!」
「は、ハルカ…あのね、私…貴方に…」
「見て見て!」
目を輝かせた彼が、指を指した。
彼の指さした方向を辿ると、誰か倒れている。
大きく目を見開いて、一瞬息が止まった。
鮮やかな桃色の髪に、ほっそりとした体。
所々リボンで結ばれた可愛らしい洋服を着ている。
直感でわかった、“転生者”なのだと。
「転生者…?」
「そう!びっくりだよね、こんな短期間で来るなんて…。」
「えぇ…ほんとに…びっくり…。」
「僕はこの子の話を聞くから、君は…
なんて言ったらいいかな…その…。」
申し訳なさそうに、目を逸らす。
彼の言いたいことは、言葉にされなくてもすぐにわかった。
「この子から離れろ」、そういうことだ。
「…ねぇハルカ…私、」
いかまる
79
88
八角常ツン
197
悠香 @絵が下手過ぎて滅
51
「ほら、初めての土地で不安だろうからさ…
そんな時に大勢で押しかけるのもどうかなぁ、と思って…。」
「もちろんトウカだけじゃないよ。他の子にも帰ってもらうつもり。」
「……。」
黙って俯く私に、ハルカは慌ててこうも付け足した。
「…ち、違うよ!君があんな事したからじゃないんだ、むしろあの事は僕も悪かったと思うし…それに…」
「…わかった。」
ハルカの言葉を遮って、後ろを向く。
もうこれ以上、彼の言葉を聞いていたくなかった。
「ごめんね、本当に。」
ハルカの謝罪に返事を返すことなく、ふらふらと帰路に着いた。
奥で、大きく雷鳴が鳴る。
それを合図に、ポツポツと大粒の雨が降り始める。小雨だったそれは、次第に勢いを増して、嵐のような大雨へと変わった。
雨に打ち付けられながら、走ることも無く、歩く。
カルヴァリーは何も言わなかった。
ただ黙って、私の腕の中に収まっているだけ。もしかしたら、もう彼はこの場にいなかったのかもしれない。
雨で顔がびしょびしょに濡れている。
私の顔を濡らすそれが、雨なのか、涙なのか私には見当もつかなかった。
コメント
2件
ハルカくんって、優しいのかも知れないけど。 どうしても、モヤモヤした気持ちになる事してくるw