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「う…ん。(…朝日?じゃなくて…昼か。…そろそろ起きないとな。あ。)」
転職して一週間。毎晩の見回りにもすっかり慣れた。慣れないと言えば3番目の鳥居に足止めを食らっている怨霊たちのグロテスクさと、日に日に過激になってきた『かのえさんのハニートラップ』だ。いつも勇ましい袴姿なのだが、日によっては胸元が大きく開いていたり、腰横の逆三角形な隙間から肌が見えていたりする。意図していなかったとしても目の毒だ。
『ひ〜ん、八門くぅん。辞めるなんて言わないでぇ。明日は来てよぉ?』
「……………。(またか。…七月室長もしつこいったら無いなぁ…ったく。)」
俺は寝ぼけ眼で、枕元にあったスマホを眺めている。毎日のように送られてくる室長のメール。俺とは高校の同級生だと嘯くこの女上司は、たしか野﨑課長の愛人だとゆう噂だった。だから近すぎず遠すぎずの距離を常に保ち、彼女の言いつけは最優先に熟していた。敵に回せば厄介だからだ。しかしもう縁は切れたのだ。二度と会う事もないと思うとせいせいする。
「しかし…広すぎだよな?この離れ。…まぁ、快適ではあるんだけど。んー。ここんとこ…下半身が落ちがないなぁ。…ティッシュは。…あるし…」
俺は引っ越して間もないその和室を、ベッドマットの上で身を起こして眺めてみる。ざっと十五畳はあるだろう。和室と言いながらも床はチャコール色な板敷きだ。もはや武道の道場と言っても良いほどの佇まいだった。しかし南側に面した窓は大きく、漆喰塗りな白壁にも安らぎさえ感じる。
だが、この部屋にある俺の私物と言ったら、ダブルサイズのベットマットと毛布。そして丸いガラスのテーブル。あとは型落ちのノートパソコンが1台と四畳敷きの真っ黒いラグだけだ。引き払った築41年のマンションから持ってきたのはそれくらいで、いかに俺が淋しくて、趣味もなく、カラッカラに乾いた暮らしをしていたのかがよく理解できた。悲惨だった。
「…………。(…でもこの部屋って…昼間は誰かに見られている気がするんだよなぁ。…かのえさんじゃないとは思うけど…他に誰かいるのかな?。いやいや!居たとしても俺の部屋なんて覗く訳ないだろう!?。あほか…)」
俺は落ち着きの無い暴れん坊をタオルケットの下でシコシコしながら、そのまま仰向けに倒れ込んだ。気持ちいいのかなど解らないのだが気休め程度にはなる。若さゆえにか、頻繁に勃起はしても感度がやや鈍いらしい。
それでもシコシコと手淫に専念してみる。別に快楽に嫌悪感は無いし、健康な男性ならスルのは当然だと言うし。しかしまともに射精したのはいつだっただろう?。確か途中で飽きて…眠っている事が多かった気がする。
隆々と反り立ちながらも、まだまだ射精しそうもない暴れん坊。飽きた。俺は手を止めてパンツを上げる。…何となく見上げた天井の左隅で誰かと目があってしまった。俺は目を離さないままで…ゆっくりと身体を起す。なぜか見つめ合う黒い紐ビキニの女と俺。敵意は感じないが…不審者だ。
「あ。あの〜。…あんた……だれ?。(忍者のつもりか?。いいや…女の子だからくノ一か。しかも確実に見られてるよな!?。いや待て!シコっていたとゆう話題に触れないようにすれば或いは。しらばっくれるとか…)」
「…流石は八門一門の末裔…よくぞ気づいたっす。…あーしは忍びの…」
「ちゃんと挨拶する気があるのなら、まずは天井から降りなさい。(あ…コイツ馬鹿だ。だが慎重に見極めよう…どの辺から見ていたのかを!)」
「は?はいっ!?。そ!それはあーしに!床に入れと仰ってるんすね!?そして今すぐに!セッ!セセ!セックスの相手を勤めろと!?。でっ!でもあーし、初めてなんで優しくして欲しいっす!。ちゃんと前戯も欲…」
「わかった。降りてこなくていいから部屋から出ていってくれ。早く。(こいつ…俺が勃起していることを知っている!構わない方がいいな…)」
「そっ!?それはできないッス!。ひらり。……あーしの任務はズバリ!八門さまの警護っす。…昼間にお休みな八門さまを見守るようにと、黒羽さまから命じられたっす!。…なので貴方様の側を離れるわけにはっ!」
このくノ一がどうやって天井にくっついていたのかはどうあれ、ようやく降りてきた。首や両腕や向こう脛に何かしらな防具を着けているものの、全体的には常夏娘。もうマイクロビキニにしか見えないその装束は、今の俺には刺激が強すぎる。…乳首とおっぱいの三分の一しか隠れてないし!
「あーもー。面倒くさいなぁ。昼間に怨霊なんて出ないんだし、何から護るっていうんだよ?。…あ…見守れって言われてたんだっけ?。(う〜コイツ、早くどこかに行ってくれないかなぁ?。布団から出られないだろ!)」
「その理由は…あーしにもあるかも知れないっす。遅れ馳せながら自己紹介させてもらうッス。コホン。あーしは黒羽さまに仕える御庭番の頭領を務める霞うずめ《カスミ・ウズメ》とゆうものっす。以後宜しくっす。」
しかしこうして見ているとなかなかに可愛い。青みを帯びた黒髪はボブ調に短く、小顔で睫毛の濃いめな眼が大きい。整った眉は細めで控えめな小鼻が良いし。ぷるんとした厚めな唇の小さい口。その右下のホクロが妙に色っぽかった。少女っぽくもあり大人っぽくもあって、くノ一とゆうだけあってなかなかに引き締まったプロポーションをしているし…悪くない。
「かすみウズメねぇ?。…で?なんで俺の足の上に座ってるんだ?。しかもM字開脚って…けっこう食い込んでるぞ?ソコ。(……はぁ。疲れる。只でさえ毎晩かのえさんに悶々とさせられるのに…今度はエロくノ一かよ。まぁ見た目は凄く良いけど…なんかカノエさんよりギラギラしてない?)」
「これは…挨拶代わりと言うか…スキンシップと言うのか。こうすれば、あーしのお尻がぷりんぷりんなのも伝わり易いし…八門さまも…欲情してくれるかなって。…あ!おっぱいの方が好きっすよね?。では早速っ!」
「わーーっ!?大きめなのは分かるからっ!脱がなくていいからあっ!。(なんなんだよもう!セルフも飽きるのに刺激ばっかり!。でも…いい加減に抜かないと若さゆえのムラムラが止まらん。う〜ん。オナホ買う?)」
「そうッスよね…アラサー女のオッパイなんて見たくないっすよね。…でも、でも八門さまに手籠めにしてもらわないと…あーしは一生、この神社の敷地から出られないっす。…八門さま後生っす!あーしを孕ませて欲しいっす!。その為なら何でもするっス!ゴックンでもにゅりにゅりでも!八門さま専用の性奴隷として誠心誠意つくすっす!。だから手籠めに…」
カサカサカサっと、素早くにじり寄ってきた霞うずめの動きに不気味さを感じながらも、俺は頭を掴んで押し離す。俺の初めてを受け止めて貰う女性を未だ決めかねている所に、こんな余計な刺激はいらない。ただ抜きたいが為に押し倒すのも良心が咎める俺だ。そう…セックスとは愛なのだ。
「あー鬱陶しい!。理由もわからずに手籠めになんてできるか!。それに俺はな?こー見えても愛の無いセックスはしないんだよ!。ほら降りろ。(まぁ…愛があろうが無かろうが…いまだに童貞なんだけどね。でも……こんなに可愛いのにアラサーなのかよ。どう見たって十代後半だけどなぁ)」
「ううう。…じゃああーしが理由を話せば…きっちり孕ませてくれるんすか?。ちゃんと女の悦びも教えてくれるんっすね?。…それなら話すっ…」
「こらこら。俺を性の伝道師みたいに言うなよ。それと『す』があまりに多すぎる。…俺に敬語とかいらないから、ウズメも自然体で話せよ。それなら聞いてやらなくもない。…なんで俺の隣に移動するんだよ?。あっ!布団の中にっ!?。えっ!何してんだお前!。あ♡そこを握るなって!」
ヤラれた!。霞うずめの接近を押さえようと、前頭を握っていた手をちょっと緩めた途端に隙を突かれてしまった。布団の中に素早く潜り込んだそのくノ一は!あろうことか俺の股間を急襲する!。反り硬くなっている俺の肉棒をおっぱいで挟むようにして乗り上げてきた!。う!?動けない!
「こんなにギンギンなのに〜よく我慢できるっすねぇ?。見上げた精神力っす。あ。あーしに気持ちよくさせてもらえませんかぁ?。しっかり出してスッキリしたなら…きっとあーしの事…大好きになれるっす♡。…ね?」
「ね♡。じゃねーよ。…俺は好きになってからセックスしたい奴なの!。あんまりしつこいとカノエさんに追い出してもらうぞ!?いいのか?」
「うふふふぅ♡そんなに強がってもぉ八門さまの身体は正直っすよぉ?。ほぉら、あーしのおっぱいに挟まれてぇ♡ビクンビクンしてるっすぅ♡。んはぁん♡こんなに反応が良いのならぁ♪。ナマで挟んであげましょうかぁ?。ほぉ〜らぁ♪。こうするとぉ〜気持ちいいっすよねぇ?。うふ♡ 」
「ううっく!?。や!やめろ!うずめっ!。うあっ!くっ!。(くそっ!パイズリなんかで抜かれてたまるかっ!。俺は…俺の童貞は!絶対に…絶対にマ◯コで逝くんだーーーっ!!。…でも…き…気持ちいい。うっく…)」
俺のをパンツの上から乳房で挟んだエロくノ一が、布団から顔を出して嘲笑う。うずめが身動ぐたびに甘い快感が伝わった。俺は酷く敏感な人質を取られていて身動きすらできない。彼女を退けようとするとキュッと挟み込むんでくる!。パンツ越しとはいえ、その素敵な弾力と刺激と気持ち良さに腰が動きそうになった。しかし初対面のくノ一に抜かれる訳にはっ!
「確かにカノエはあーしの永遠のライバル。ならば八門さまを奪い合うことになりそうっすね。…しかし奴ばかりに良き思いはさせられないっす!八門さま、お覚悟を。今この場で!あーしのお股に入れるっ…………す?」
「うふふふふ。…う〜ず〜め〜ちゃ〜ん?。八門さまにな~にをなされているのですかぁ?。…ヤツカドさまの専用ラブドールはぁ、このカノエなのですよぉ?。……サッサとお布団から出なさいっ!殺しますよっ!!」
良かったぁ…俺の貞操はギリギリのところで護られた。うずめのおっぱいの弾力と柔らかさに翻弄されて、腰が浮きそうになっていたところにカノエさんが現れたのだ。俺の背後で腕を組み、仁王立ちしている彼女からは並々ならぬオーラを感じる。これではエロくノ一もひと溜まりもないだろう。だが、少しばかり名残惜しくもある。初めてのパイズリだったのに…
「きゃーー♪。お助けください八門さまぁ♡。うずめは殺されますぅ♡。あ〜れ〜。…それよりカノエちゃん、休戦っす。八門さま、今ギンギンなんっすよ?。…いっそ二人で…八門さまを襲うっす♪。…乗るっすよね?」
「ごくり。…や、ヤツカドさまの…あのせっかん棒がギンギンに。しかもそれを…わたしとウズメちゃんで手籠めにする…と?。更には都合の良いことに、ヤツカド様は布団から出られない。…こうなったら是非も無く…」
「こらこらこらこらーっ!?。カノエさんまでなに言い出してんの!?。とにかく離れなさいってウズメ!?。…でなきゃお前の主人である黒羽さんに言いつけるからなっ!?。…っ!?。(うう…ウズメちゃんのおっぱいが想定外にぷりんぷりんで。…でも…張りの凄さはカノエさんだよな。って…なに?何だよお前ら。何ではぁはぁ言ってるんだよ?や!やめっ!)」
俺の期待を見事に裏切るカノエさん。くノ一の話術に見事に引っ掛かってしまった!。これは非常に不味いことになった。只でさえカノエさんは俺を誘惑してくるのに。だけど俺には初めてのセックスに対する夢がある。
それは決して性欲を満たすためとか、その場の勢いでヤルのではなく、身も心も任せられるほどの信頼関係になってから抱き合いたい。お互いに相手の存在に感謝しつつ、夢中になって溶け合うように愛し合いたいのだ。
それこそが俺にとっての愛のあるセックスだと思っている。その結果で子供を授かったなら、俺の暗い生い立ちなんて忘れ去ってやるつもりだ。セックスとは新しい命さえ創り出す神聖な愛の儀式。そこだけは譲らない。
「ご…ごめんなさいっ…す。……八門さま。…反省してるっす…」
「……ヤツカド様。大変に…申しわけありませんでした。……ぐす。」
「ふん。……こんど襲いかかったら本当に出ていくからな?。契約上、通勤でも別に構わないんだし。…ったく。下らないことで霊力を使わせやがって。…欲しい時には欲しいって…ちゃんと言うから少しは控えてくれ…」
「………はい。」
「はい……っす。」
あの直後、俺は黒咲鈴に教わった錬気術で二人を弾き飛ばした。使えるのは防御術式のみなのだが、これが秀逸に便利なのだ。霊気をエネルギーに術式を手印にて構築して、自分の全身を薄い結界的なベールで包むとゆう簡単な術だ。ある程度の刃物や熱などを完璧に遮断する。体ごと吹き飛ばされる程の打撃には弱いが、多少の衝撃は吸収してくれとゆう優れ物だ。
「そもそもさ?二人がかりで襲ってくるってどうゆう事?。かのえさんは俺と同じ守り人で、うずめは御庭番なんだろう?。オレ達の仕事はこの神社を守る事だし、二人はもちろん、黒咲さんの側に務めている黒子さん達だって俺は仲間だと思っている。だからこそ理由を聞きたい。…話せ。」
俺が防御術式を使ったがために、放たれた霊気の影響で俺の部屋はめちゃくちゃになった。それをうずめとカノエさんに片付けさせる。そろそろ食事の時間なのだが今はどうでもいい。とにかく俺を二人の乙女が共有しようとした理由を知りたかった。普通の女の子は独占したがるものだろう?
その理由いかんによっては、願いを聞き入れてやろうとも思う。かのえさんは俺の女神だし問題はないとしても、このエロくノ一だ。いきなり現れてパイズリまでしやがった。俺が危うく受け入れるところまで追い詰められたからには相性も良いのだろう。だが彼女たちの覚悟の訳は知りたい。