???「ねぇもうすぐ兎白の誕生日じゃない?」???「そういえばそうですね」
???「誕プレまだ用意してないや」
ここは、生徒会室。
「雨花」、「橙」、「桃時」は「兎白」の誕生日について話し合っていた。
兎白と「瑠璃人」は欠席中。
桃時「ねぇ!今日ショッピングモールまで行って見繕いましょ!」
雨花「いいよ!」
橙「ちょっと待った!!」
桃時「何?もしかして都合悪い?」
雨花「どうかした?」
橙「あなたたち知らないんですか?!トウヒガ学園に伝わる七不思議のうちの四十九個目!」
橙は、生徒会室の資料倉庫の奥から『トウヒガ七不思議』という広辞苑並にでかい本を出してきた。
雨花「七不思議って七つあるから七不思議なんじゃないの?」
桃時「いくつあんのよ」
橙「七十個あります!」
雨花「てことは、四百九十九個あるってことだね」
桃時「何なのよ!その無駄な数!」
橙「それでですね。夜にこの校舎から出て、恋人にプレゼントを買いに行く人は……」
桃時「ひ、人は?」
橙「警察の人に……」
桃時「け、警察?」
橙「早く帰れと怒られるんですって!!恐い!!」
桃時「いやそれただの注意でしょ。確かにもう遅い時間だけど……」
橙「恐ろしやぁ……」
桃時「ちょっと雨花何か言ってや……」
雨花「恐い!!!!」
桃時「あんたもかい!!」
雨花「自分のした悪行が露になるんだよ……?心当たりしかなくて警察の人みたらファキナウェイしちゃいそうだよ」
橙「その挙句、パトカーにランデブーしちゃいそうです……!」
桃時「あんたら頭相当イカれてるわね。そしてどっちも犯罪になるからやめなさい」
橙「いえ!でもショッピングモールまで行きましょう!兎白さんのために!」
雨花「そうだね!!」
桃時「いや別に無理しなくても……」
橙「さぁ!行きますよ!」
雨花「スリル満点!犯罪者の人ってこんな心境なのかな?」
桃時「絶対違うと想う。まだ六時だし」
橙「早く行きましょう!」
雨花「ん?七不思議の本の四十九個目のページの続きに何か小さく書いてある………えぇっと」
橙「雨花さん!行きますよ!」
雨花「?、うん」
雨花、橙、桃時はショッピングモールに向かうことになった。
橙「あっ丁度ショッピングモール行きのバスがありますよ!乗っていきましょう!」
桃時「丁度校門に着いた途端に来たわね」
雨花「……ん?そんなバスうちの学園通ってたっけ?」
桃時「いいから早く乗りましょ」
雨花「え?うん」
三人はまだ知らなかった。
このバスが「ある意味」恐怖のバスになることを……
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雨花「…………」
桃時「アタシあんまり小遣いないから、高いものは買えないわね」
橙「じゃあ三人で買うものをシェアするのはどうでしょう?」
桃時「いいわね。それ!」
雨花「…………」
橙「どうしたんです?雨花さん?」
桃時「さっきから黙って……」
雨花「いやね?」
「「さっきから同じところを回ってない?」」
橙・桃時「え?」
確かに雨花の言う通り、先程から同じところを回っている。
橙「一向にショッピングモールに行く気配がないですね」
桃時「ちょっと!運転手さん!全然ショッピングモールに進んでないわよ!」
桃時が大声で伝えても何も返事が返ってこない。
橙「きこえてないんじゃないですか?」
雨花「それは違うと想うよ?だって」
「「乗客わたしたち三人だけだもん」」
橙「…………え?」
桃時「運転手さん!!」
シーン
橙「な、何か怖くなって来たんですけど」
雨花「わたしみてくるよ」
桃時「よろしく」
雨花は席から立つと、運転手の方へ行くことにした。
雨花「運転手さん……。…………」
雨花は運転手の方をみつめて動かない。
桃時「な、何よ?運転手さんに何があったの?」
橙「…………え?え?まさか死んでるとかないですよね?」
雨花「いや。そもそも死ぬも何も……」
「「誰も運転手席に乗ってないよ」」
桃時「は?」
橙「…………う……ん」
桃時はとても驚き、橙は気絶した。
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橙「あれ?ここは……」
雨花「あっ目、覚めた?」
桃時「ここはまだあのバスの中よ」
橙「そ、そんなぁ」
雨花「あれから、ハンドルを回してもアクセルとブレーキを押しても何も起きないの」
桃時「どうすんのよ。外も暗くなってきてるし」
雨花「あとさ。もう一つ気になることがあってさ。」
橙「な、何ですか?」
雨花「さっきは、わたしたち三人以外いないって言ったけど、運転手さんの後ろの座席にもう一人……というか人なのか分からないけど、いるんだよ。」
「「おじさんが」」
橙「私はバスの外。私はバスの外……」
桃時「あんた話しかけてきてよ」
雨花「分かった」
雨花は忍び寄る。
雨花「すみません!おじさん誰ですか?」
桃時「ちょ!バカ!そんなバカ正直に言う奴がっ!!」
雨花「おじさん〜もしもし〜」
雨花がおじさんを少しちょちょっと触ると、おじさんが倒れてきた。
橙「みぃぎゃあ!!!!」
桃時「あんた声デカイ!おじさんもしかして死んでるの?」
雨花「息はしてないけど、心臓は動いてるみたい。仮死状態って奴かな?ん?おじさんの持ってた袋から何か出てきた」
『運転手のいないバスでの適切な乗降方法』
雨花「何これ?」
桃時「何なのかしら?」
橙「わ、私はしばらくここで座ってます」
雨花「えぇ、なになに。『方法その一、トウヒガ学園の生徒であること。その二、恋人がいること、または恋人のいる者と一緒にいること。その三、女子であること。その四、……」
「「この本の持ち主を生き返らせること」」
雨花「…………この条件と最後のって……」
桃時「何だか変態性が出てきてない?」
橙「生き返らせるってどうするんです?」
雨花「橙ちゃん。向こうであっち向きながらお話しよう」
雨花は桃時とアイコンタクトを取って、桃時に合図した。
桃時「おいおっさん。腑抜けた面みせてんじゃねぇよ。てめぇの魂胆丸わかりなんだよ!キメェことしてんじゃねぇ!」
「ひぇひぇ!!す、すみません!!許して下さい!!」
雨花「仮死状態だったのにあっさり起きた……てことは……」
桃時「あぁ?こちとら自分の彼氏のために付き合ってもらってる身なんじゃ!二人にも謝れこのドグサレが!!」
「ご、ごめんなさい……その僕、昔から存在が幽霊みたいって言われてた妖怪で、女子はもちろん、誰も近寄って来なかったんです!だから、僕も恋愛経験したくて……だから人口k」
桃時が転がったおじさんを蹴り上げる。桃時は今興奮してるので、普段より力が違う。
桃時「アタシたちの時間返せやてめぇ!!」
「ひぃぎゃあ!!!!」
その後、分かったこと
あの妖怪は、女子の貞操を狙う変態妖怪で、普段は人間に化けてバスの運転手をやっていて、しかし、どうしても女子と関係を持ちたくて、自分の担当のバスを使って、時折、トウヒガ学園の女子たちを付け狙っていた模様。トウヒガ学園の生徒たちは普段から妖怪と関わっているため、自分のことも見て貰えると思ったそう。
ちなみに、あの七不思議の四十九個目のページの続きには……
雨花「『その他:変態来たる』」
桃時「何が『その他』よ……」
橙「しかも変態って……」
瑠璃人「お前ら何があったんだよ……」
兎白「?」←元凶っちゃ元凶
こうして、雨花たち三人は極めて無駄な時間を過ごしたのであった。