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無理やり復讐の道に引き摺り込んだ罪悪感。
そして、血の繋がった妹を守らなければならないという
これまでに感じたことのない奇妙な責任感が、私の中で複雑に交錯する。
私は、彼女の震える手に、そっと自分の手を重ねた。
「……私は、無責任なことは言わないわ。仮にも私たちは、あの忌まわしい男の血を分けた姉妹なんだし。あんたのことは、私が必ず守ってあげる」
それが、今の私に言える精一杯の言葉だった。
ダイキリは驚いたように目を見開き、やがてホッとしたように、泣き笑いのような顔で微笑んだ。
「……エカテリーナさん。……そんな風に言ってもらえるなんて。……すごく、嬉しい…かっこいいです」
その笑顔に、私の凍りついた心の一部が、わずかに救われるような気がした。
夜は、まだ深い。
雨音は収まりつつあるが、この家には依然として
蜘蛛の巣に絡め取られたような粘り気のある緊張感が漂っている。
アルベルトは椅子に深く腰掛け、腕を組んで目を閉じた。
私は深く息を吸い込み、乱れた思考を、鋭利な刃物のように研ぎ澄ませていく。
創造的再利用玩具。
001-GIMLETから始まる、呪われたリスト。
そして「この世界は私のレシピだ」と嘯く何者か。
(すべてはゲームの駒、グラスに浮いたチェリーの一粒に過ぎないのかもしれない……)
腹の底から、黒い炎のような、冷徹な殺意が燃え上がるのを感じた。
私とアルベルトだけが、例外であるはずがない。
あの忌まわしい父親。
奴がこの世界を「レシピ」と称するなら。
コロナリータも、ダイキリも、私も。
そして、この無機質な私の「盾」であるアルベルトさえも。
私たちは皆、見えざる糸に操られ、グラスの中で溺れることを運命づけられたマリオネットに過ぎないのかもしれない。
(そんなの、冗談じゃないわ)
思わず、口角が吊り上がった。
愉快な気持ちなど、微塵もない。
ただ、純粋な怒りと、宿命を食いちぎってやりたいという復讐心だけが私を支配していく。
この謎を解き明かし、あの男の心臓に、この手で終止符を打たない限り。
この怒りの焔は、私の魂を焼き尽くすまで消えることはないだろう。
「……もう、体を休めましょう。明日は、早いから」
私は二人に告げ、それぞれの布団に入る。
すぐには眠れそうになかった。
まぶたを閉じても、不吉なカクテルの名前が浮かんでくる。
それでも。
明日という名の「次の工程」がやってくることだけは確かだった。