コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
大水くんが転校してきて2日目、俺らはあの日の放課後した事は忘れたように挨拶を交わし、会話もそこまでしない。ただのクラスメイトになった。でも今日は休み時間から大水くんの菅田が見えない。
「今日の音楽はリコーダーを使うから準備しておいてね。」
音楽の先生がドアを開けて報告した。今日の5時間目は音楽らしい。言われた通りロッカーからリコーダーを出し始める生徒。
「きゃあああ!!!」
いきなり、教室に悲鳴が響いた。一瞬体をビクッとさせたが、冷静になった。悲鳴の正体は、昨日頭の中に出てきた、雪乃 明莉だ。
「どうしたの?」
「何があったの?」
駆け寄る女子生徒たち。
「きゃあ!なにこれ!」
「汚い!」
「なんか臭いよ!」
駆け寄る女子生徒たちも何か言っているようだ。気になったから、様子だけ見に行ったがどうやら本当に何か汚くて臭いものがあるようだ。リコーダーの周りに白い、ボンド?のような牛乳のような物が着いている。牛乳にしてはドロドロしているが。近くに行ってみないと分からないが、少し鼻につくような酸っぱい匂いがした。たしかに汚い。
「おい、大水。お前洗ってこいよ」
クラスのガキ大将的なやつが大水くんに指示した。
「え、あ、うん。」
貸して、と大水くんは雪乃のリコーダーを持っていく。そういえば、大水くんは今までどこにいたんだ?そんなとこより、大水くんが気になったから後をついて行くことにした。
「大水くん。」
「え?、なんだ岡本くんか」
「そんなの引き受けて、大丈夫なのか?」
「別に害はないよ。」
「そう、ならいいけど」
「心配してくれたんだね」
「別に。」
ありがとう。と言って微笑む大水くん。この微笑みを見れるのは俺しかいない、そう思うとなぜかすごく嬉しい。水道まで来て謎の汚いものを水で流そうした時。
「は?」
大水くんがリコーダーの汚いものを指に着けて舐めたのだ。
「ちょ、ちょっと何してんの?」
急いでリコーダーを取り上げたおかげでこっちにまで汚い物がついた。
「いや、なんだろうと思って」
「なんだろうと思っても舐めないから」
ほら、口ゆすいで。と誘導し、リコーダーをその場に置き、俺は手を洗った。
「なんかわかったの?」
「うん。」
「え、何?ボンド?」
「そんなものじゃないよ、もっと汚いかも」
「そんな汚いもの舐めて大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫」
ほんとかよ。と心配になる。
「んで、なんだった?」
「知りたいの?」
「…また?」
「知りたいなら」
「ここで?」
「準備室行こう」
準備室は今いる水道の向かい側にある小さく、運動会などの小物がまとめて置いてある教室だ。要は物置。準備室は暗くて、クーラーもないからすごく暑い。
「暑いけど、ほんとにここ?」
「ここしかないし」
たしかに…。納得してしまった。
「今日は何するの?」
「軽いペッティングかなぁ」
「ペッティング…?」
「そう、岡本くんはそのままでいいよ。」
「何もしなくていいの?」
「うん、そのままじっとしてもらえれば」
言われた通り、壁に背中を合わせてじっと待っていた。背中が壁でひんやりした。ひんやりしたのは一瞬のことで、大水くんは俺の背中に手を回した。背中に手を回して、3秒間くらいそのままだったがそれから、首や二の腕辺りを大水くんの手は触っていった。身長は俺の方が少し高いくらいだから、抱きついている時や触っている時、いちいち耳に息があたり、耳がゾクゾクする。ペッティングってこのことなんだ。
体を触ることか。なんてことを考えていて、俺の腰あたりを触っていた大水くんと目が合った。そして彼は、ふふ…と微笑み舌なめずりをした。そんな姿をしてしまった俺は何か、来るものを感じた。昨日と同じ感覚…。やってしまった…。勃起だ。大水くん相手に勃起してしまったらしい。大水くんは気づいていない。まずい。顔を見られ、焦っているのがバレた。
「岡本くん、どうしたの?」
「え、あ、いや、その…」
「ん?」
「そのさ…、気持ち悪がられると思うけど、俺、勃起したっぽい…」
「え、」
まずい。完全に引かれる…。
「そっか、嬉しい。」
なぜか大水くんは照れた顔を見せる。え?勃起が?気持ち悪くないの?そんなの疑問を持ったがあえて口には出さない。
「良かった…」
「そろそろ、終わりにしよっか」
大水くんは、教室を去ろうとしたが、俺が止めた。
「あの、この勃起ってのは、どう抑えればいいのかな…?」
恥ずかしかったが聞くことが出来た。
「あ、そっか。じゃあ収まるまでリコーダーの件の話でもしていよう」
大水くんは世間話でもするかのように隣に座り話を始めた。
「結論から言うけど、あの液体の正体は精子だよ。」
「せいし?」
「保健の授業でやらなかったかい?」
「やったけど、あれは赤ちゃんを作るために…」
「まぁそんなとこだよね、学校が教えてくれるのは」
「どうやって、精子と卵子がくっついて受精すると思う?」
「それは…」
「知らないよね」
「うん。」
「まぁ今後、機会があれば教えてあげる」
「そうか…」
「んでなんで精子が着いていたかって話なんだけど多分、真田くんが犯人だと思う」
「真田くんが?」
「うん」
真田くんは俺のクラスの陰にも陽にも属さない珍しいタイプの男だ身長は高くて眼鏡をかけている。顔は下の下だ。
「まず、雪乃さんのリコーダーに着いていた精子は比較的新しいものだった、乾いているわけじゃないし、それに匂いがキツかった。今日の給食はブロッコリーが出たしブロッコリーには精子の匂いをキツくする成分があるらしいからね」
「そうなんだ」
「それと真田くん雪乃さんが好きだからね。雪乃さんは正直、顔は中の上くらいで人気はあるけど性格最悪で嫌われてるし、あんな物好きなかなかいないしね。」
「たしかに、雪乃は昔からいじめっ子気質だったしな」
「あと何よりの証拠が真田くんから精子の匂いがするのと、まだおっ立ててるからね。真田くん欲求不満なのかな」
そうなのか、そんなとこまで見ていたとはさすが大水くんだなと思った。
「そろそろ大丈夫そう?」
「え、あ、治ったみたい」
「よかったね。教室戻ろう」
「うん。」
性に関しては大水くんの方が上だった。負けた気がして少し悔しい。
教室に戻り、リコーダーを雪乃に渡すと満面の笑みで感謝を言われた。雪乃の中の上くらいの満面の笑み感謝されるのと、大水くんのふふ…の微笑みは圧倒的な差があり、大水くんの方が綺麗だなって思った。