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かな「すみません、お時間よろしいでしょうか?」
かな「指名手配書を見て、こちらに伺おうと思いまして。」
狼煙は上がった
警備員「柏日向の事でしょうか、分かりましたこちらに…」
刹那、鉛玉がかなの正面から少し右に位置する警備員を音と共に貫く
顔にその原型はない、警備員はあっさりとタヒんだ
ビルが赤く点灯すると、りさを照らしドローンが何機も飛んでくる
かな「行こうりさ!」
りさ「了解。」
2人は並んで建物に向かって
ドローンからの攻撃を避けながら、走る
sepia「…すみません、思わぬ事故で負傷してしまって…」
スタッフ「そうなんですね…身分証の提示だけ、お願い出来ますか?」
スタッフ専用出入口で、sepiaは専用の身分証を差し出す
スタッフ「…えぇ、間違いありませんね。」
スタッフ「人感センサーにも身体を通してください。 」
sepiaはそれにも応じ、あっさりと通ることが出来る
sepia「…大丈夫でしょうか。」
スタッフ「はい!どうぞお通り下さい。」
身分証を偽造しての破壊行為はよくあることだ、だからこそこういった組織は人感センサー、身分証とセキュリティの強化に務めている。
_最も、今回は内部の人間が反逆者として立ち回るのだが。
sepia「…部外者は入れないよう入口に細工がある」
sepia「それを解除しに行こう」
sepia「…パスワードは、1715_」
無機室で、まるで病室のような廊下に、いくつかのローファーの音が響く
深夜であるにも関わらず、業務を行う人々がsepiaの横を通り過ぎて行くのだ。
それらを心中で少し労いつつ、彼は制御装置の前へたどり着く
前に立つと、スクリーン出現し、文字を表示させる
「身分証の提示をお願いします。」
「…認証完了、パスワードの入力をお願いします。」
あまり触ることはないパスワードであるが、sepiaは記憶し、正しいパスワードを
打とうとする
sepiaが記憶するパスワードを打つと、”失敗”
“失敗”
“そちらのパスワードは、現在使われておりません。”
sepiaは同様しながら、周囲を見渡す
疲れきった社員が、たまに通りかかる
sepia (………聞くしかないか_?)
顔には出さないが、服の内側は冷たい汗がじわりと染み込む
sepia (……うそ)
社員「…sepiaさん、そんなところで立ち尽くして、どうか致しましたか?」
sepia「あぁ…すみません、ここのパスワードを忘れてしまったみたいでして…」
社員「パスワード…こんな制御装置のパスワードを解こうなんて、なにかトラブルでも?」
左の拳をぎゅっと締め付けるように握る
どうすれば、どうすれば
そんな思考がsepiaを動揺の渦に追い詰める
間は0.5秒、だがsepiaにとっては5分…いや、10分かのようにも感じられる
sepia「…メンテナンス用ロボットがショックで壊れてしまったじゃないですか、それで所長から代わりにメンテナンスを頼まれまして。」
咄嗟に出た言い訳だ、メンテナンス用ロボットは本当に居るが、それがショックで壊れたかなぞ長期間抜けていたsepiaに知る由もない
社員「…あぁ…」
社員が少し考える様子を見せると、心拍が跳ね上がるのを感じる、強い動揺がsepiaを支配した。
社員「そうですね!つい一昨日にロボットが何体か壊れたのを聞きました、ショックが原因かは調査中らしいんですけど、紛れていたんでしょうね。」
社員は様子を変えずsepiaに向けてそう言う
社員「…昨日更新されまして、パスワードは____」
sepiaはほっ、と胸を撫で下ろす
親切な社員に罪悪感を覚えつつ、深々と頭を下げ、2人は分かれる
制御を解くと、sepiaはりさにメッセージを送信する
「建物内に入れるように制御を解いた、殺さず邪魔が入った場合は気絶で頼む。」
りさ「了解、ありがとう。」
手が微妙に震えている
sepia (…良かった、次は課長を説得しよう。)
sepia (なるべく社長以外は殺したくない_)
課長_30代の男で、4年前にこの業界に来た。
課長以上の人間がここに来たワケはsepiaのような一般社員には知らされていない。
課長も、部長も、社員は皆マインドコントロールの被害者である。
社員「侵入者だ!撃て!」
銃弾が飛び交うロビー
そこを2人は手を繋いで走る
社長室、そこは特殊な手順を踏まないと行けない場所だ。
そのためには、課長室と部長室を経由しなくてはならない。
かな「次は課長室…行こう!りさ!」
警備員「待てお前ら!」
警備員が何人も立ちはだかる
警備員「目的はなんだ!miaの崩壊か!?」
りさ「終わってから分かるから、眠ってて。」
りさは一瞬で警備員の懐に着くと、みぞおちを思いっきり蹴り、気絶させる
かな「麻酔銃の準備完了!」
かなはホログラムから形成し、実体化させた麻酔銃を右手に持つ
そして2人を取り囲む警備員全員に、それを発砲
効果は急性、反撃の間もなく、警備員は強い眠気に抗えなくなる
警備員「…っ!?…痛…お前、なにを…」
りさ「ナイス、走ろう」
ロビーを見回しても、人は居ない、今がチャンスだ。
2人分のローファーの音だけがロビーを彩る
sepia「…課長、俺はmiaの崩壊に手を貸す訳ではないんです。」
課長「…ならなぜこんなことをするんだ、意味がわからない。」
課長「お前は誰を憎んでいるんだ、人か?ロボットか?それとも_」
sepia「俺は確かに人を憎んでいます、けれど…同じ境遇の奴に出会いました」
課長「はぁ、同じ境遇ねぇ」
課長「…そいつは俺らとは思想が違うと?」
sepia「えぇ、彼女は、人の争いに巻き込まれた、だが内戦をよく思っていなかった少女に助けられた。」
sepia「そして_我々が追っている”柏日向だったもの”が誕生した。 」
課長「…えぇ、柏日向についてはよく存じ上げておりますが」
課長「へぇ、そんな背景があったんだ?」
彼の圧が痛い、だがやるしかない
せめて社長から解放しないといけない
課長「なぁ、sepia」
課長「お前は、”絶対正義”なんかじゃないんだよ」
sepia「…っ!そんなこと分かって…」
課長「いいや、分かってない。」
sepia「は…?」
課長「とっくに知ってるよ、君の目的は社長を殺すことだ、って」
sepia「…!?」
課長「私はmiaの賛同者だ、だけど同時に、社長の強引なやり方には賛同できない」
課長「社長の事は私としても嫌いだよ、でも_」
課長「sepiaのやり方も、エゴを押し付けられているようで、私個人としては正直好きではない」
ただでさえ冷たくて凍ってしまいそうな空気が、一層冷たくなる
sepia「…あ…」
sepia「…すみません…。」
そう、傍から見るのなら、彼のやることはまるで引き抜きなのだ。
課長「…あぁ、謝ることは無いよ、社長に反逆を起こそうとしてくれていることには、少し感謝している」
課長「私から何か言うことは無いから、安心して進んで。」
sepia「あ…ありがとう、ございます…」
そこに、2人の少女が後ろから声をかける
かな、りさ「sepia!!」
課長「君たちか、ここに共に侵入したのは」
かな「…貴方が、課長…さん?」
りさ「sepia、この人は大丈夫なの?」
sepia「………」
sepia「止めは、しないらしい。」
sepiaの顔が曇る
sepiaは自覚する
“絶対正義”なんて、存在しない
誰かの正義は、誰かの悪になる
そんなこと分かっていたはずだった、だがsepiaは”正義”として自分の思想を、助けたい相手に向けてしまったのだ。