秒針の音が鳴り響き、一日が始まる
また、今日が始まってしまった
外を見れば、少し澄んでいる青色の景色
透明感に溢れていて、どこまでも、
広がっている
この空はこの世界の全部を見渡せるんだろうね、と幼稚な考えを 脳の片隅で考えながらゆっくりと 頭を覚醒させる
少し耳を済ませば、兄である桃と母との
喧嘩が聞こえてきた
毎日こんな日々なので、聞き飽きたものだ
制服に着替えて、全身鏡を見る
自分の童顔の原料と なっている
ふっくらとした口元に大きい目
下手をすれば小学生に見える顔が、
少しコンプレックス
深い溜め息を吐いて自分の部屋を出る
うるさくなる怒声、また溜め息を吐きそうになったが、唾を飲み込み耐える
溜め息を吐けばまた状況が悪化するだろう
静かに、できるだけバレないように
廊下を歩く
床の軋む音が気に入らない
そう考えていると、隣のドアが開いた
「おにーちゃん、?」
俺の4つ年下の弟、水だ
こいつは素直で可愛い弟だが
生まれつきとても体が弱い
「おにーちゃん、!おはよう!」
「おはよう、水」
水に返事を返すと、
水はにっこりと無邪気に笑い、
洗面所の方へ足を進めた
「あ、そういや水、体調は?」
「今日はだいじょーぶ!」
元気に答える水に胸を下ろした
歩く水を見送るともう一度 唾を飲み込んだ
リビングのドアの前に経つと
さっきよりも大きい声が聞こえてくる
慣れたものだが、人の怒鳴り声は 自分じゃなくても不快になる
軽く息を吐き、リビングに入る
兄に目を送ると、一瞬だけ目が合ったが 睨まれて、目を逸らされた
目が合っても逸らされるのはいつもの事だが、睨まれたのは初めてだ
そんな兄に驚き体が固まった
でも、すぐに動き出した
上から物音がしたからだ
いや、物音じゃない
何かが落ちたもの、それもかなり重い物
上には今水1人しかいない
俺も、兄も、母も瞬時に悟った
「水が倒れた」と
案の定、水は高熱を出して倒れていた
母は兄のことなんか放ったらかしにして 2階に駆け上がった
そしたら、体温計や冷えピタなど、
様々な要求をされ、挙句の果てには
「なんで気づかなかった」と暴言を吐かれる始末
悲しむ暇も与えられないまま
リビングに押し出され、なんとも言えない
気持ちになる
今日も俺は見られないな、と
目の前の状況から思い浮かべる
ふと、ダイニングテーブルを見ると
朝ごはんが置かれてないことに気づく
朝から母は兄と喧嘩をしてたっぽいし
作ることができなかったのだろう
今から作ってもいいのだが兄と2人きりのリビングは 今すぐ逃げ出したい程に
気まずくとても居心地がいいとは 言えない
一日ぐらい、食べなくても大丈夫かと
呑気に考え、玄関に置いてある
通学バックに手をかけた
時刻は7:20、いつもよりは早いが
水と母が居る部屋の隣の自室に
今でもブチ切れそうな兄がいるリビング に いて時間が経つのを待つよりはマシだ
「いってきます、」
息に近い程の小さな声で呟き
玄関を開ける
一瞬見えた兄の顔が、驚いた表情をしていたのは、きっと見間違えだ
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兎雪です!
「結構書いたな~」と思ってたんですけど
いざ自分で読むと全然短かったですw
次回 ♡2000
コメント
4件
小説書く時結構書いたなと思って読みかえしたら短い時あるよね。第1話めちゃくちゃいい作品
相変わらず神ですね!! 兎雪さんの小説でしか取れない栄養素があります…✨ いつもありがとうございます!
小説って書くといっぱい描いたのに読むと思ったより少なく感じますよね(( 最高すぎました!!!!✨️ これからも楽しみすぎます💕