テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

7話目もよろしくお願いします!

スタートヽ(*^ω^*)ノ



勇気なんてなかった。

会ったら何を話せばいいのか分からなかったし、 この想いが、ただの勘違いだったらどうしようと、そればかり考えていた。


けれど足は、気づけば自然と動いていた。




歩くキヨの背中を、レトルトはそっと追う。

雑貨屋の前で立ち止まったキヨが、店内に入っていくのが見えた。


レトルトは、ガラス越しに静かに見つめた。

他人から見れば、ただのストーカーみたいだったかもしれない。

でも――それでも目が離せなかった。


キヨは、店内の棚を眺めながら、ふと足を止めた。

そこにあったのは、カニのぬいぐるみ。


丸い目、ふわふわのハサミ、にやけたような顔。

――レトルトが、以前アプリの中でぽろりとこぼした、好きなキャラクター。


『うわ、これ……』

キヨの口元が、緩んだ。

その表情は、まるで宝物を見つけた少年のような笑顔。


レトルトの心が、グラリと揺れた。


あんなふうに笑うんや……。

あんなやさしい顔で、自分の好きなものを見てくれてるんや……。


会いたい。

触れたい。

キヨのぬくもりを、もう一度――感じたい。


喉の奥が、ぎゅっと痛んだ。

何かが込み上げてきそうで、でも声は出なかった。


ガラス越しの距離が、たまらなく遠くて。

手を伸ばせば、すぐ届く場所にいるのに。


レトルトは、ただ静かに胸を押さえて、その背中を見つめ続けた。



つづく

俺の彼氏はAIくん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

127

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚