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第5話【生まれた意味】
ナチが死んでから初めての朝が来た。
俺は1人きりだった。
日帝「…ナチ…」
ナチのことを思い出すとまた、涙が溢れた。
でも俺はあるところに行くことを決めていた。
この世界が終わるまでに、どうしても行きたい場所があった。
それは俺の生まれた研究所だった。
なぜ研究者は俺を作ったのか、なぜ俺はこの世に生まれたのか知りたかった。
その研究所は俺が生まれた頃よりも古びたように見えた。
日帝「何か残されていないか…?」
そこには誰もいなかった。
だから俺は必死に資料などの俺がわかる情報を探し続けた。
30分くらい探していて見つかったのはたった1枚の封筒だった。
日帝「何だ…?手紙か?」
読む覚悟ならできていた。
俺はすぐさま封筒を開け、中の手紙を読む。
日帝「…え?」
『研究者から
読んでくれていますか?日帝くん。
実は私も元は実験体だったんだ。
実験体にも感情がある。気持ちがある。したいことがある。それをわかってほしい。
私はそれがわかったから日帝くんを作り、旅に出ることにした。
頼む。日帝くんは自分が生まれたことを悔やまないでくれ。人生っていうのは幸せだから』
涙が溢れた。
俺が生まれたのはこんな素敵な意味があった。
ちょっとしたことなんかじゃない。
俺は誰かにとって大切にされていた。
「俺…全然悔やんでなんか…ないですよ…。十分幸せです…」
泣きながらそう言葉にしていた。
泣くとなぜだかナチを思い出す。
「おいていってごめん。もっと一緒にいたかった」
そう、ナチが言っている気がした。
そして俺は生まれたとき、最初にいたベッドに横たわった。
「懐かしい…」
涙が一筋流れた。
そして永遠の眠りにつくことになる…。
今日終わる、もうすぐ終わるこの世界で。
エピローグ
ドイツ「日本?どうした?ぼーっとして」
イタリア「大丈夫?疲れてない?」
日本「あ、ぼーっとしてました…」
ドイツ「心配」
イタリア「とりあえず!早く居酒屋行こ!」
ドイツ「あ、待てって…」
日本「…」
今だから思うことがある。
日本「私は今幸せです」
笑顔で『俺』はそう言った。
【俺に感情は無いけれど】完