リビングのソファーで、俺は目を閉じていた。
完全に寝ていたわけじゃない。
仕事から帰ってきて、ちょっと休もうとソファーに横になったら、そのままうとうとしてしまった。
だけど、近づいてくる気配に気づいて、なんとなく寝たふりを続けていた。
「……またこんなとこで寝て……」
呆れたような、でもどこか優しい声が聞こえる。
まぶたの裏に、翔太の顔が浮かんだ。
「ったく……風邪ひくぞ……」
クスッと笑いそうになったのをこらえる。
そんなことを言うくせに、毛布を取りに行くわけでもなく、すぐそばにしゃがみ込んで、じっとこっちを見ている気配がする。
——もしかして、寝顔見られてる?
妙に意識してしまい、心臓が少しだけ早くなる。
すると、ほんの一瞬、そっと額に柔らかい感触。
——ちゅ。
「……っ!?」
脳が一瞬フリーズした。
なに、今の——。
「……なにやってんだ俺……」
小さく自分にツッコミを入れた後、翔太がバッと立ち上がる気配がした。
そして、そそくさとリビングを出ていく足音。
「…………はぁ、まじか」
ようやく、ゆっくりと目を開ける。
寝たふりを続けていたのは自分のはずなのに、今となっては完全に翔太にしてやられた気だった。
「……かわいいな……」
手でそっと額を触る。
あの一瞬の感触が、まだ残っている気がして。
「……やば……」
思わず顔を覆った。
不意打ちすぎる。
なんでいきなりそんなことするんだよ。
でも。
「……悪くない……」
翔太にされたことを思い出して、また心臓が跳ねる。
今度、同じことを仕返してやろうか——。
いや、きっとそんなことをしたら、翔太はとんでもなく恥ずかしがるだろう。
……それも、ちょっと見てみたいかも。
そんなことを考えながら、一人、こっそりと悶える。
コメント
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尊すぎるゆり組❤️💙