テラーノベル
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───最近の話だったから、嫌なほど鮮明に、よく覚えている。
『あっ……う、ああ……!!』
いつものように盗むものは盗んで帰ろうとしていた途中、後ろからうめき声のようなものが聞こえた。
先頭にいたのはトラゾーさん、その次がクロノアさん、その後ろが僕の並びだったから、後ろからの声が誰の声だったかなんてすぐに分かる。
『ぺいんとさん?』
今まで聞いたことのないような彼のうめき声がどうも絶望したような声で、僕は彼の方に振り向いた。
『何、して───』
ひどく開放的な場所で振り向いて見た光景は、ぺいんとさんがひどく血まみれで。
『ちょっ、ぺいんとさん?! 何ですかその血! 撃たれました?』
そんなふうに僕が声を上げれば、みんながぺいんとさんによってたかった。
それでいて、僕たちは気絶している大人を1人だけ抱えていた。
その気絶している大人は、上の人から酷い扱いを受けていた人であり、宝石を盗む代わりにその会社の悪事を暴くため、その人を証人として運んでいたのだ。
───そう、もう分かるだろう?
ぺいんとさんを狙った弾丸は、わざとだった。つまり、悪事を働いていた会社がぺいんとさんを銃で撃ち、わざと僕たちの意識をぺいんとさんに向けることでその隙に証人を───……
『あ───』
聞こえた銃声に絶望したのはその場にいたみんなだった。
うめき声を上げながらも心臓を撃ち込まれたその人は、すぐさま心臓の働きを終えた。
───善人を犠牲にしてはならない
僕たちの信条は、その瞬間に破られてしまったのだ。これは誰のせいでもなかったけれど、みんなが死に関して怯えるようになった。
……………
死に対する思いが強まったことで、僕たちは死に関するとわざと感情をなくす癖がついてしまった。
───でないと、またあの絶望を味わってしまうから。
「……僕も寝ますね、おやすみなさい」
階段を上がり、光の漏れるリビングから姿をわざと消した。もう寝る時間なのもあったけれど、あの空気感はいまだに慣れないのだ。
(……)
ぺいんとさんに酷いことをしているとわかっている。それでいて、毎日悔やんでいる。
───あの時、ぺいんとさんを押し退けていたら。
そうしたら、きっとぺいんとさんだって怪我をしなかった。あんな、痛々しい怪我を。
「……バカだな、僕」
ごめんなさいと言えないこの口は、何のためについているのだ。
……………
「……で? 本当に作戦を実行するの?」
そう問いかけるクロノアさんの目には、どこか不安げな感情が滲み出ていた。
それは俺───トラゾーにもよく分かる。今まで試したことのないものであるし、もしかしたらお互いのことを嫌いになるかもしれない。
ただ、これしかないと思ったのだ。
「ええ。でないと、PKST団はずっとこのままですよ」
「でも……!」
何か言いたげなクロノアさんは、どうしてもその言葉を言えずに口をつぐんでしまう。
けれど、何となく言いたいことはわかる。
───リーダーは大変だな
自分がリーダーになったとしても、きっと均衡は保たれない。それはよくわかっていることだ。そう思うと、常々リーダーという存在は大きいものだと感じる。
「大丈夫です。きっと全部うまくいきますよ」
だったら、リーダーの肩の荷を下ろすために必要な存在がメンバーなのではないだろうか。
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