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#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
能研本部・会議室
Az研究施設襲撃から一週間。
傷ついたメンバーも回復し、能研には久しぶりに穏やかな空気が流れていた。
タジがノートパソコンを見ながら顔を上げる。
「世界中の能力者コミュニティが騒いでる。」
柚季が首を傾げる。
「何があったの?」
タジは画面を全員へ見せる。
そこには巨大な艦影が映っていた。
「太平洋上で、正体不明の超巨大戦艦が確認された。」
ソウヤは目を見開く。
「これって……。」
惣一が静かに答える。
「能力戦艦ハルシオン。」
中央太平洋
青い海の上空。
雲を突き抜けるような巨大戦艦が静かに浮かぶ。
能力戦艦 ハルシオン。
艦橋ではフランが世界地図を見つめていた。
副艦長ベルソルト・ヴェルダンディが報告する。
「艦長。」
「Azの活動範囲が拡大しています。」
参謀長ヴァフズルーズも続ける。
「マスタークラウンも各地で活動を活発化。」
フランは腕を組んだ。
「能力者同士の均衡が崩れ始めているな。」
ウルスラが新たな報告書を差し出す。
「もう一つ。」
「能研という組織がAzの研究施設を壊滅させました。」
フランは資料を受け取る。
そこにはソウヤたちの写真が並んでいた。
その中で、フランの視線が止まる。
イレイダ・レイス。
「……。」
彼は静かに目を細める。
「彼女がいるのか。」
ベルソルトが尋ねる。
「ご存じなのですか?」
「昔、一度だけ名前を聞いたことがある。」
「身体能力だけなら世界でも指折りの能力者だ。」
能研本部・訓練場
イレイダは今日もソウヤを鍛えていた。
「もっと踏み込め。」
ソウヤが拳を放つ。
しかしイレイダは片手で受け止める。
「まだ軽い。」
ソウヤは悔しそうに歯を食いしばる。
その時。
タジが慌てて飛び込んできた。
「大変!」
「未確認飛行物体が日本領空へ!」
イレイダは冷静に尋ねる。
「敵か。」
「分からない!」
「でも、とんでもなくデカい!」
東京湾沖
能研のメンバーが現場へ到着する。
水平線の彼方から、巨大な影が姿を現す。
海面に影を落としながら進むその姿は、まるで一つの島。
ソウヤは言葉を失う。
「でかい……。」
結衣も息を呑む。
「あれが……。」
惣一は静かに告げた。
「ハルシオン。」
巨大戦艦の甲板。
一人の青年が海風を受けながら立っていた。
白いロングコート。
堂々とした立ち姿。
その背後には副艦長ベルソルト、ヴァフズルーズ、ウルスラが控える。
青年は穏やかな笑みを浮かべた。
「初めまして。」
「私は――」
フラガラッハ・F・ミストルティン。
「皆からはフランと呼ばれている。」
イレイダは一歩前へ出る。
「……何しに来た。」
フランは敵意のない眼差しで答える。
「安心してほしい。」
「今日は戦いに来たわけではない。」
「君たちに、一つだけ伝えたいことがある。」
その場の空気が張り詰める。
「Azだけを見ていては、この世界は救えない。」
「もっと大きな”うねり”が、すでに動き始めている。」
ソウヤは思わず尋ねる。
「それって……。」
フランは空を見上げる。
「いずれ分かる。」
「その時、君たちは世界を選ぶことになる。」
その言葉を残し、フランは静かに踵を返す。
ハルシオンはゆっくりと向きを変え、日本近海を離れていく。
誰もがその巨大な背中を見送っていた。
エピローグ
ハルシオン艦内。
ベルソルトが小さく尋ねる。
「艦長。」
「彼らを信じるのですか?」
フランは窓の外を見つめたまま答える。
「まだ分からない。」
「だが……。」
「彼らには、この世界の未来を変える可能性がある。」
その瞳の先には、静かに日本列島が映っていた。
第32話 完
コメント
1件
第32話読み終えました! 「海から来たる者」ってタイトルからして、もうワクワクが止まらなかったんだけど、本当に巨大戦艦ハルシオンが来ちゃったね…! フラン艦長、すごく穏やかなのに威圧感があって、でも敵ではないっていう絶妙な空気感がたまらなかった。イレイダとの過去を示唆するシーンに心臓がドキドキしたよ。 ソウヤたちがこれからどんな選択を迫られるのか、すごく気になる…! 次話も絶対読みます🖤