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🌟🎈(nrkr)/宇宙
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探偵社の面々を追い返し再び二人きりになったセーフハウス
太宰はソファに座り、膝の上で大人しく完全自殺読本…ではなく絵本を眺める中也の頭を撫でていた
「………ん、………ぁ…………っ」
不意に中也の体がびくりと跳ねた
心臓の鼓動が速まり、赤毛の隙間から覗く耳たぶが熟した果実のように赤く染まっていく
「中也?どうした………もしかして熱かい?」
太宰が心配して顔を覗き込んだその時だった
潤んだ青い瞳がすっと細められる
それは先程までの無垢な幼児のものではなく戦場を駆けるマフィア幹部───中原中也そのものの鋭い眼光だった
「……て、めぇ……太……宰……」
絞り出すような掠れた声
幼児の舌足らずな発声のはずなのにそこには確かな殺意とそれ以上の羞恥が混じっていた
「おや、お帰り。ずいぶんと早いお目覚めだね、中也」
「……殺す、……絶対にぶち殺……っ」
だが意識が戻ったのも束の間
再び薬の副作用が襲い中也の体がガタガタと震え出す
「大人の意識」が「幼児の脳」を圧迫しているのか、中也は苦しげに太宰のシャツを掴み、その顔を太宰の首筋に押し当てた
「あ、つ…あつい、太宰……ッ」
幼児の姿で大人の男の声色で名前を呼ばれる
その歪なエロティシズムに太宰の喉が鳴った
中也は無意識に太宰の鎖骨あたりに熱い吐息を吹きかけ、縋るようにその背中に小さな腕を回す
「……中也、今君はどっちだい?私を殺したい方か私に抱きしめてほしい方か」
太宰の声が低く愉悦に満ちて響く
中也は熱に浮かされた瞳で太宰を見上げると震える唇を戦慄させた
「…どっちもだ、……クソ野郎」
そう云い捨てると同時に中也の意識は再び深い霧の中へと沈んでいった
「だざ……あつい……いたい…」
数秒後再び聞こえたのは泣きじゃくる幼児の声
太宰は無垢に戻った中也を強く骨が軋むほど抱き寄せた
中也の中に今の記憶が戻りつつある
それはこの甘い蜜月が終わるカウントダウンでもあった
「起きたらどんな顔で私を罵るのかな………楽しみすぎて今すぐ食べてしまいたいよ」
太宰は中也の耳たぶを優しく甘噛みし、意識の混濁に震える相棒を夜が明けるまで離さなかった