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#大人ロマンス
「そうだ。もう少ししたらクリスマスだな。美花は……何が欲しい?」
外は闇に包まれ、静けさが漂う車内で、圭がステアリングを握りながら、徐に口を開いた。
「クリスマスプレゼント……ねぇ……。う〜ん……」
美花は彼の問いに、引っ掛かりを感じてしまった。
豊田駅に迎えに来てくれた時、圭が眉間に皺を寄せながらスマートフォンを見やり、美花の姿を確認した途端、慌てながら隠すのを見てから悶々としている。
彼の質問は、美花の疑念から逸らすために言っているのではないか、と。
「これと言って欲しい物はないかなぁ。ネックレスも買ってもらったし、それだけで充分」
「そっ…………そうか」
微苦笑しながら前方を見据える彼を、美花は横目にする。
小さな腫れ物を残したまま、車はいつしか、圭の自宅マンションに到着していた。
車を降り、二人は圭の部屋に向かう。
ソファーに腰を下ろして、圭に抱き寄せられる美花。
「何だろうな。美花と一緒にいて、こうやって抱きしめてると…………すごくホッとする」
後頭部と細い腰回りに彼の腕が回され、彼女は、圭の胸に顔を埋めた。
「…………そう言ってくれるの、圭ちゃんが初めてだよ」
「……そうか」
美花が、ほんの少しだけ笑みを含ませていると、小さな顎が節くれだった指先に触れられ、唇をそっと重ねられる。
「俺は美花に…………色々な『初めて』を……与えているって事になるのかな」
「うん。圭ちゃんは私に…………色々な世界を見せてくれてる……」
「俺も……美花と出会ってから…………初めて感じる事が多いよ」
圭の腕の中で、美花は、彼の胸から微かに響く命の鼓動に耳を澄ませる。
トクン、トクンと刻み続ける彼の心音を感じながら、美花は思う。
人を好きになる事は、ドキドキしたり、好きな人を想うだけで心が満たされる反面、嫉妬や疑心と常に隣り合わせなのだ、と。
(色々思う事はあるけど…………今は、圭ちゃんと一緒にいる時間を大事にしなきゃ。休日出勤にもかかわらず、こうして私と会ってくれているんだし……)
ほろ苦い気持ちを喉の奥に押し込んだ美花は、さらに圭の胸に頬を寄せ、顔を俯かせた。
***
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