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僕、田代陽太はリビングルームにある机にお父さんとお母さんの3人で座っていた。机の上にはバツ印が圧倒的に多いテストの答案用紙が広げてある。
今は7月中旬。世間一般的にはもうすぐ夏休みに入るということでソワソワしている学生も多いだろう。
まぁ、学校に行っていない僕にとったら、登校期間も長期休暇も関係ないんだけど。
ただ、学校に行っていないとはいえ、成績をつけるためにテストは受けないといけないらしく、今机の上に所狭しと広げられている答案用紙はまさに、この前別室受験した1学期の期末テストだ。出来はどうだったのかと言うと…
「おい、この点数は冗談ではないんだよな…?」
父が「頼むからそうであってくれ」とでも言いたげに聞いてくるのでその淡い希望を打ち砕くために僕は口を開く。
「逆に冗談だと思う?」
僕がそう言うと、父はあからさまにため息をついた。
「5教科合計131点て… 」
父が実際の点数を口にすると、今度は母までもがため息をついた。
そう、僕は今回のテストで5教科合計500点満点中131点を叩き出したのだ。
「あんたさぁ、こんなんじゃ本当に高校行けないよ?」
ここで母が初めて口を開く。
「いや、別に高校行こうとも思ってないし…別に中卒でもいいんじゃないの?」
僕がこう言うと、父が声を荒らげる。
「そんなの許せるわけないだろうが!将来どうすんだ!中卒なんかで雇ってくれるところなんて限られてくるんだぞ!」
その物言いにカッとなって僕も声を荒らげる。
「じゃあその限られてるところに入ればいいじゃねぇかよ!中卒を雇ってくれる企業がないわけじゃないんだからさ!そもそも、僕の人生なんだから将来について決める権利は僕にあるんだよ!親のあんたらに口出しされたくねぇんだよ!」
「親に向かってなんだその口の利き方は!」
両者ともにヒートアップしてきてしまった。それを止めるように母が口を開く。
「2人とも落ち着いて。ね?落ち着いて話し合いましょう。」
母はそう言ってくれるが、
「もう話すことなんてねぇよ。自分の部屋行くから入ってくんなよ。」
そう言って、自分の部屋がある3階に向けて階段を乱暴に駆け上がる。
「ちょっと、陽太…」
「いいんだよ、あんな奴放っとけば。」
そんな言葉を背中に受けながら。