テラーノベル
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香帆は、公園の帰りに銀行に寄って、三千万円を預け入れた。
銀行員に「実家の〈建替え〉は中止になりました」と伝えると、『資産運用』を勧められた。
パンフレットを並べて説明されたが、興味がないし、よく解らない。
「まぁ、そのうちに。それまで預かってて下さい」
このお金は普通ではない。
大切に預金するのが一番だ。
家に帰って通帳を見た。
『¥30,000,000』の文字が〈3回〉記帳されている。
保険会社から振り込まれたとき。
桜志郎に奪われたとき。
取り返したとき。
「やったぁ~~~!!」
香帆は叫んだ。
お金が戻った! 嬉しい! でも、
「これで終わり、じゃないよね?」
「あたりまえや。このままやと地獄行きや」
3ヶ月以内に『現世の未練』が消えないと、颯真は成仏できずに地獄に堕ちる。
颯真の未練は【怨念】だ。
誰かを【深く強く恨む】思いだ、と三途川が言った。
「その気持ちが晴れたら、成仏できます」
「ぜんぜん晴れてへん」
生命保険金を取り戻すのは当然。
まだ復讐はしていない。
「ホンマの復讐《しかえし》はこれからや」
「そうよ。肝心なことが残ってるし」
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