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#普通
野々さくら
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ありあ
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信愛は静かに考えを巡らせていた。
「そうだとするなら・・・」
全員の視線が彼女に集まる。
「茜が言ってた復讐っていう考えも
間違ってないかもしれない」
茜は驚いたように目を丸くした。
「まぢで!?」
焔垂は頷きながら話を続ける。
「とりあえず被害者の住所をまとめた書類が
部室にあるからさ、明日、それを見て被害者の自宅に
行ってみないか?新しい発見があるかもしれないし」
茜は首を傾げた。
「そんなの、どうやって調べたわけ?
ちょっと引くんだけど・・・」
焔垂は少し気まずそうに視線を逸らす。
「先輩を安心させたくて
なりふり構ってらんなかったんだよ」
信愛は少し困ったような表情を浮かべる。
「でもさ、八乙女くん?」
「ん?」
言葉を選びながら信愛は続けた。
「言いにくいんだけどさ・・・」
焔垂は静かに耳を傾ける。
「もし、あの霊が本当に
復讐のために人を襲ってるんだとしたら」
信愛は焔垂の目を真っ直ぐ見つめた。
「その三瓶先輩もいじめの
加害者だった可能性もあるよね?」
部屋が静まり返る。
焔垂は何も言わず、唇を噛んだ。
その沈黙が答えを物語っていた。
やがて茜が小さく呟く。
「た、確かにそうだよね・・・」
信愛はさらに問いかける。
「このまま調べるって事は先輩の
過去を暴く事になるよね?
八乙女くんは、それでいいの?
お世話になった人なんだよね?」
焔垂はゆっくりと息を吐いた。
「世話になった先輩だからこそだよ」
信愛は思わず聞き返す。
「え?」
「確かに三瓶先輩には恩義はあるよ
けど、もし犯罪に近いいじめを
本当にやっていたんだとしたら
救いたいんだ、改心させてあげたい」
焔垂の表情はどこか寂しげだったが、迷いは一切感じれなかった。
茜はそんな焔垂の名前を小さく呼ぶ。
「焔垂・・・」
焔垂は静かに続けた。
「世話になった人が間違った道を歩んでるんなら
正しい道に導いてあげたいんだ」
その言葉には怒りではなく、純粋な願いが込められていた。
「だから複雑ではあるけど、俺は大丈夫だよ・・・」
信愛はその表情を見つめ、ゆっくり頷いた。
「そっか・・・」
そのとき、銚子が香をあげる
「ちょっといい?信愛?」
「なに?お母さん?」
銚子は娘の顔をじっと見つめる。
「まさかアンタ、また変な事しようとしてない?」
少し心配そうに眉をひそめた。
「え?」
銚子は静かな口調で続ける。
「いい?あなたがこの前、除霊できたのは
佳苗が良心のある霊だったからよ」
信愛は何も言えずに黙り込む。
「でも今回は違う、信愛の霊気が潜在的に
霊圧を拒絶するほどの悪霊なのよ?」
銚子の声には強い警戒が滲んでいた。
「それたな八乙女くんだって
取り憑かればっかりよね?」
焔垂も黙ったまま視線を落とす。
信愛は唇を噛みしめ、小さく呟いた。
「でも・・救いたい」
その一言には、恐怖と、それでも見過ごせないという決意の両方が込められていた。
銚子は黙って娘を見つめる。
信愛はゆっくりと顔を上げる。
「確かに私はまだ未熟だよ・・・」
先ほど悪霊に圧倒された光景が脳裏をよぎる。
「あれで、自分の力がどれだけ足りないか
痛いほど理解した・・・」
それでも、その瞳から決意は消えていなかった。
「けど・・・」
力強く言葉を続ける。
「このままにしとく訳にはいかない!」
銚子は深いため息をついた。
「まったく・・アンタって子は・・・」
その時、焔垂が一歩前へ出た。
「何かあったら、俺達が何とかしますから!」
茜もすぐに続く。
「はい!絶対に無理させませんから!」
二人の真っ直ぐな言葉が、静かな部屋に響く。
焔垂は銚子へ深く頭を下げた。
「認めてもらえませんか?」
信愛も茜も、それに合わせて深々と頭を下げる。
「お願いします!お母さん!私を信じて!」
焔垂も頭を下げたまま声を絞り出す。
「お、俺からもお願いします!」
銚子は三人の姿を見つめ、長い沈黙のあとで大きく息を吐いた。
「はぁ〜・・・」
どこか諦めたように苦笑する。
「分かったわよ・・・」
その言葉に信愛は思わず顔を上げた。
「お母さん・・・」
銚子は真剣な眼差しで娘を見据える。
「けど、これだけは約束して
自分には無理だと、そう分かった時は
迷わず逃げる事、わかった?」
銚子は一語一句、言い聞かせるように続けた。
信愛は強く頷く。
「わ、分かった・・約束する」
そして迷いなく答えた。
その言葉をを聞いた銚子は、小さく頷いた。
娘が誰かを救いたいと願う気持ちは止められない。
だからこそ、せめて無事に帰ってきてほしい。
母として願うことは、それだけだった。
コメント
1件
うわっ、もうこの回、すごく良かったです…。焔垂くんの「世話になった先輩だからこそ」っていう台詞が胸に刺さりました。自分がお世話になった人を正しい道に導きたいって想い、すごく純粋で…でもそこに少し切なさもあって。銚子さんが「逃げることも大事」って言ったところも、ちゃんと娘を想ってるんだなって伝わってきてほっこりしました。三人の絆、応援したくなります。