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#普通
野々さくら
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ありあ
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翌日の怪異探求倶楽部部室
昼休みの部室には、いつもの4人が集まっていた。
信愛たちは、前日に焔垂が霊へ取り憑かれた際に見た魂に刻まれた記憶について、さくらへ一部始終を説明していた。
話を聞き終えたさくらは、驚いたように目を見開く。
「まじで?あの後そんな
ヤバい事になったんだ・・・」
信愛は改めて説明すりは。
「で、放課後に事故の被害者の家へ行って
詳しい話を聞きに行く予定なんだ」
すると茜が、考えを整理するように口を開く。
「もし霊が、自分をいじめてた人たちへ
復讐してるんだとしたら事故の被害者が
いじめの加害者だった可能性もあるからね」
「確かにね・・・」
さくらも静かに頷いた。
しかし、その会話の最中、焔垂だけが一人押し黙っている。
どこか遠くを見つめるような表情に、信愛は違和感を覚えた。
「八乙女くん?どうかした?
元気ないみたいだね?」
信愛の問いかけに、焔垂はようやく顔を上げ、小さく笑ってみせる。
「あ、いや・・・別に」
だが、その笑顔はどこかぎこちない。
茜も心配そうに覗き込む。
「なによ?どうかした?」
焔垂は少し迷った末、小さく息を吐いた。
「いやさ・・・」
そして、ぽつりと本音を漏らす。
「あの映像がさ・・・頭から離れなくて」
部室の空気が静まり返り、焔垂は俯いたまま続ける。
「白縫さんが言ったように
俺が見た映像が魂に刻まれた記憶だったんなら
あれは実際に起きた出来事ってことだよな?」
「まぁ、そうなると思う」
信愛は静かに答えた。
焔垂は拳を握り締める。
「あれを血の通った人間がやってたんだって思ったら
そう考えたらなんか・・・胸が苦しくってさ」
茜は焔垂を見つめ、小さく名前を呼んだ。
「焔垂・・・」
信愛は焔垂の前に立ち、穏やかな笑みを浮かべる。
「分かるよ、八乙女くん」
焔垂は驚いたように顔を上げた。
「え?」
「私も魂に刻まれた記憶を見たことあるから
八乙女くんの辛さは、痛いほど分かる」
信愛は、自分も同じ苦しみを知っていることを伝える。
焔垂の張り詰めていた表情が、少しだけ和らぐにはその一言だけで十分だった。
「白縫さん・・・ありがとう」
信愛は真っ直ぐ焔垂を見つめ、力強く言った。
「だからこそ──」
一呼吸置く。
「原因を根本から解決して霊を救わなきゃ」
焔垂は静かに頷いた。
「そ、そうだな・・・」
そして、自分に言い聞かせるように続ける。
「それは、生きてる俺らにしか出来ないもんな」
信愛は大きく頷く。
「そう!」
焔垂は気持ちを切り替えるように深呼吸すると、両手で自分の頬を勢いよく叩いた。
──パシンッ。
乾いた音が部室に響く。
「よぉし!」
さっきまでの沈んだ表情は消え、瞳に再び力が宿る。
「やろう!みんな!」
「うん!」
信愛も力強く頷いた。
さくらは笑みを浮かべながら立ち上がる。
「なら、放課後だね」
4人は互いに顔を見合わせ、小さく頷き合った。
霊の復讐を止め、祓うためではない。
その悲しみの根源を見つけ出し、一人の『元人間』の魂として救うために。
怪異探求倶楽部は、次の目的地へ向かう準備を始めた。
◇ ◇ ◇
それから放課後。
信愛たちは焔垂の案内で、古海商店街付近の住宅街を歩いていた。
静かな街並みの中を進みながら、茜が退屈そうに口を開く。
「ねぇ?まだ着かないの?」
焔垂は前を歩きながら振り返る。
「もうすぐだよ」
そう言うと、前方を指差した。
「この先に最初の被害者だった
江古田って人の家があるはずだよ」
信愛は少し感心したように微笑む。
「というか八乙女くん?よく調べたね?」
焔垂は少し照れくさそうに頭をかいた。
「毎日朝と夜に聞き込みしたんだ」
その言葉に、さくらは思わず目を丸くする。
「うわぁ〜・・まじかよ」
焔垂は苦笑しながら肩をすくめた。
「引くのやめろよ!」
「あ、ごめん・・素で引いちゃった(笑)」
さくらは慌てて両手を振ると、信愛はくすりと笑いながら話を戻した。
「あとどのくらい?」
焔垂は前方の道路を見つめる。
「この先の路地を曲がった先に──」
言いかけたその時だった。
焔垂の視線が一点で止まる。
「って、あれ?」
信愛が首を傾げる。
「ん?どうかした?」
焔垂はゆっくりと前方を指差した。
「いや、あれ・・・」
その先には、一つの交差点。
そして、一人の女子高生が、歩道に立ち尽くしていた。
微動だにせず、ただぼんやりと交差点を見つめ続けている。
茜は怪訝そうに眉をひそめる。
「あんな子いいからさ
さっさとその江古田って人の家に」
しかし焔垂は静かに首を横へ振った。
「いや、だから、あの人が、その江古田飛鳥さんだよ」
一瞬、時間が止まる。
茜は目を見開いた。
「え!?まぢ!?」
「あの人が・・江古田さん?」
コメント
1件
焔垂くんの「あの映像が頭から離れなくて」って言葉、すごく刺さりました。自分も重い作品を読むとそうなるから、彼の気持ちが痛いほどわかってしまって。でも信愛先輩の「同じ苦しみを知ってる」って言葉が、すごく優しくて、温かかったです。最後の江古田飛鳥さん、交差点に立ち尽くしてる姿が不気味で、この先どうなるのか気になって仕方ないです。いつも深い物語をありがとうございます🥀