放課後の校庭のグラウンドが湿って虹がかかっている。
グラウンドに少女が立ってる。
彼女の名前は「さくらい あやか」。
あやかは誰かを待っているようだ。
「さくらい さん、ここで何してるの?」
声をかけたのは「きさらぎ ゆうと」。
同じクラスなのに話したことはほとんどなかった。
あやかは驚いたように振り返り間を開けてから微笑んだ。
「なんでもないよ、ちょっとね、ただの気まぐれ。」
それをきっかけに、二人は少しずつ会話を交わすようになった。
「あやか」の笑顔に惹かれた「ゆうと」は、彼女ともっと話したいと思うようになる。
木が葉で生い茂ってくる季節。
「ゆうと」と「あやか」は放課後の時間を一緒に過ごすようになった。
時には図書館で勉強をし、時には公園で休憩する。
ある日、「ゆうと」は「あやか」に尋ねた。
「さくらい さん…今日一緒に帰らない?…」
「あやか」は少し驚いていたが、すぐに縦に頷いた。
その日から、二人は毎日一緒に帰るようになった。
「あやか」の明るい性格と、時折見せる寂しげな表情に、「ゆうと」はますます惹かれていった。
夏祭りの夜、二人は一緒に花火を見る約束をした。浴衣姿の「あやか」は、いつも以上に綺麗だった。
「すごく綺麗だな、花火もだけど……君も。」
「ゆうと」の言葉に、「あやか」は顔が赤く染まった。
「ありがとう。でも、急にそんなこと言われると困っちゃう….」
花火が夜空に咲き誇る中、「ゆうと」は心の中で決意を固めた。
そして、花火が終わった瞬間に、「ゆうと」は「あやか」に向かって言った。
「好きです!、自分と付き合ってくれないですか?…」
「あやか」は少しの間、何かを考えるように黙っていたが、やがて柔らかく微笑んだ。
「うん。私も、「ゆうと」のこと好きだよ!」
二人が付き合ってから二人の日々がさらに楽しくなった。
学校でも放課後でも、いつも一緒にいる時間が増えた。
クリスマスにはお互いに手作りのプレゼントを交換した。
バレンタインデーには「あやか」が作ったチョコレートを「ゆうと」が喜んで食べた。
「これからも、ずっと一緒にいられるかな?」
ある日の帰り道、「あやか」がふと呟いた。
「もちろん。自分が君を守るから!」
「ゆうと」の言葉に、安心したように微笑む「あやか」。
今日は卒業式。
二人は校門の前で一緒に記念写真を撮った。「ゆうと」は「あやか」に改めて言った。
「これからも、どんな時でも君のそばにいるよ。」
「あやか」は涙を浮かべながら頷いた。
「私も、ずっと一緒にいたい。」
それから長針は進む。何周も何十周も。
二人は大学を卒業し、社会人に。
忙しい日々の中でも、二人の絆は変わらない。
それから数年後の桜に色が染まる季節。
「ゆうと」は「あやか」を夕日の差し込む公園に連れて行き、指輪を差し出した。
「あやか、結婚してくれないですか?」
「あやか」の下に『みず』が落ちる。
「うん!」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!