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#普通
野々さくら
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ありあ
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諏訪部勇の口から語られる言葉は、あまりにも重かった。
「天虎村にはな・・・昭和40年まで
奴隷制度が存在したんだよ」
その一言に、信愛は思わず息を呑む。
「奴隷制度?」
勇は静かに頷いた。
「その家に産まれた長男のみが家業を継いで
その後に産まれた弟は『おじろく』
妹は『おばさ』と呼ばれ、長男の奴隷として
生涯無報酬で働かされる。そういう制度だよ」
信愛の表情が強張る。
「それが・・・おじろくおばさ」
秋穂が悲しげに目を伏せた。
「おじろくおばさは家から
出る事さえも禁止されていたの」
「え?」
「他の村民との交流も禁止され
村の行事への参加ももちろん禁止」
信愛は思わず顔をしかめる。
「まるで監禁・・・」
美羽も苦しそうに続ける。
「妹は結婚さえも許されてなかったとされてるわ」
焔垂は拳を握り締めた。
「そんな制度が実際にあったのかよ」
朝陽も信じられないというように首を振る。
「信じられない・・・」
勇は静かに目を閉じた。
「俺にも・・・弟と妹が居たよ」
その言葉に、信愛ははっと顔を上げる。
「じゃ、じゃあその子達も?」
勇は苦く笑った。
「ああ・・・奴隷だった」
部屋の空気がさらに重く沈む。
勇は遠い昔を思い返すように続けた。
「奴隷として使うのは忍びなかったが
奴隷制度を拒絶した村民が村八分に遭ってな」
幼い日の無力感が、その声音に滲む。
「まだ幼かった俺は・・大人に従うしかできなかった」
信愛は胸の前で拳を握り締めた。
「産まれた順番で、その後の人生が
本人の意思と関係なく勝手に決められるなんて」
勇は静かに頷く。
信愛は気持ちを切り替えるように顔を上げた。
「なら・・・あの歌は?」
「あれはわらべ歌だよ」
「わらべ歌?」
「奴隷制度が廃止された時、また同じ過ちを
繰り返さない為に、村民全員で歌にして
おじろくおばさを弔ったんだ・・・」
勇は少し間を置き、続ける。
「森の奥にも祠を建ててな」
信愛は静かに頷いた。
「大体は分かりました。この後は
独自で調べたいんですが、いいですか?」
「ああ・・構わん。だがあまり遠くに
行っちゃいかんぞ?危ないから」
「はい・・・ありがとうございます」
そう言って信愛は深々と頭を下げた。部屋には再び静かな空気が流れ始めていた。
◇ ◇ ◇
部屋へ戻った一同は、畳の上に円を描くように座り、これからの方針を話し合い始めた。
焔垂は腕を組み、重いため息を漏らす。
「まさかこの村に奴隷制度があったなんてな」
その隣で、さくらも複雑そうな表情を浮かべる。
「私も初めて聞いた」
朝陽は全員の顔を見回した。
「でもこれからどうします?」
信愛は迷いなく答えた。
「まずは祠をこの目で確認しときたい」
皆が信愛へ視線を向ける。
「祠の手入れ具合を見れば
霊の感情をおおかた推測できるから」
焔垂が眉をひそめる。
「そんな事出来るのか?」
信愛は静かに頷いた。
「きちんと手入れが行き届いてるんなら
霊はそこまで怒ってないと思う」
少し間を置き、信愛は真剣な眼差しで続ける。
「けど・・・」
「けど?」
さくらが首を傾げる。
「仮に祠の手入れが杜撰で
荒れ果ててたりしたら
霊が怒ってる可能性はある」
朝陽は納得したように頷いた。
「なるほど・・・」
そして考え込むように口を開く。
「祠が手入れされてないってことは
霊が忘れ去られて敬意を払われてない
って事になりますからね」
「そういう事」
信愛は静かに肯定した。
「でも残念ながら今回は後者だと思う」
焔垂が苦々しく呟く。
「茜に取り憑いて暴れ回ってたからな」
信愛も小さく頷いた。
「そう・・私の夢にまで出てきたからね」
その瞳には、確信にも似た色が宿っていた。
「だからちゃんとこの目で祠を確かめてみたいの」
さくらはすぐに賛成する。
「ならとりあえずはその祠に行かなきゃね」
朝陽が信愛へ問いかけた。
「確か祠の場所は花牟礼先輩の
お爺さんに聞いたんでしたよね?」
「うん!だからそこに向かいたい」
焔垂は立ち上がりながら言った。
「なら白縫さんと花牟礼、朝陽くんで行ってくれ」
そう言って部屋の奥へ視線を向ける。
「俺はこの部屋で茜の様子を看てるからさ」
信愛は安心したように微笑んだ。
「うん・・・お願い」
役割が決まり、信愛、さくら、朝陽の三人は祠を目指して森へ向かうことになった。
一方、焔垂は静かに眠り続ける茜の傍らへ腰を下ろし、その身を見守るため部屋に残った。
コメント
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×××さん、第99話読みました…!「おじろくおばさ」の正体がこんなに重い過去だったとは😭 産まれた順番で人生が決められる理不尽さ、勇さんの弟妹が奴隷だったっていう告白も胸に刺さる…。信愛が祠を確かめに行く決意を固めたシーン、すごく頼もしくてグッときた!これからどんな真実が待ってるのか、本当に気になる…続きが楽しみです🌸