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「そう言ってくれると嬉しいけれどさ。でも悠達も2年になったら気づくと思う。そうするのは先輩としての義務とか、そういう物じゃ無い。やりたいから、伝えたいからそうしているんだってさ。
私は先輩達や先生に、日本の野遊びがこれだけ楽しいという事を伝えて貰った。だから先輩としての私がすべきというか、したい事は、同じように楽しい事、面白い事を後輩に教える、伝える事なんだ。これだけ楽しいぞ、こんなに面白いぞ、こんな可能性もあるぞって。
4月から始まったこの活動も、もう4分の3が過ぎようとしている。その中で、楽しさとかを私は伝えられたかな、って。色々難しいけれどな」
そんな先輩の気持ち。
僕らは後輩という存在がいないから、まだわからないのかもしれない。
それでも今の僕が、自信を持って言えることがある。
「先輩が自分をどう評価しているかは別として、活動の楽しさは間違いなく伝わっていると思いますよ。そうでなければ1年生がこううじゃうじゃと、いつの間にか5人も集まってこないと思います。違いますか」
「そう言ってくれると嬉しいな」
川俣先輩はそう言って微笑んでくれた。
そこに。
「ひっひっひ。無駄遣いをしてしまったのだ」
亜里砂さんの声。
皆さんが戻ってきた。
亜里砂さんと美洋さんが何かを手に持っている。
「何か買ったのか」
「山バッチなのだ」
山と白い壁と赤い屋根の山小屋、そして『氷』の旗の入ったカラーのバッチだ。
「まだ山頂まで行っていないのにか。気が早いな」
「山頂は山頂で別のバッチを買うのだ。山に行くたびに揃えて部屋に飾るのだ」
はまっているなあ、亜里砂さん。
「それでは、そろそろ出発しましょうか。あと1時間もしないで山頂までいけると思います。山頂に着いたら、ちょっと早いですけれど昼ご飯にしましょう」
そんな訳で、防寒具を脱いでザックにしまって、ザックを担いで。
「さて、塔ノ岳についたら飯なのだ!」
亜里砂さんの言葉で、僕達は歩き出した。