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咄嗟に出た返事は、思いっきり裏返って情けないものだった。


顔が燃えるように熱い。


耳の先まで真っ赤になっているのが自分でもはっきりとわかる。


尊さんは俺のそんな反応を楽しんでいるのか、それとも愛おしく思ったのか、ふっと柔らかく、慈しむように笑った。


恥ずかしくて、それ以上彼の顔を見られず、俺は思わず俯く。


「じゃ……じゃあ、失礼しますっ!」


逃げるようにドアノブを掴み、軽く会釈だけして玄関を飛び出した。


(わ……わぁぁぁぁっ……!!)


階段を駆け下りる足音が、静かな夜の廊下にやけに大きく響く。


心臓が警鐘のように跳ねっぱなしだ。


胸の中で喜びと緊張と気恥ずかしさが混ざり合い、大きな渦となって暴れている。


(尊さん…記念日覚えててくれたんだ……)


「空けとけよ」なんて。


尊さんのことだ、きっと俺が想像もしないような素敵なプランを考えてくれているに違いない。


夜景の見えるレストランだろうか、それとも二人きりでゆっくりできる場所だろうか。


(もしかしたら……プレゼントもあったりする?)


なんて勝手に想像が膨らみ、抑えきれない高揚感で走り出したくなる。


1周年という大きな節目。


俺だって、尊さんに心から喜んでもらえるものを渡したい。


(24日までに、尊さんが喜んでくれるようなプレゼント探さないと……!)


顔を上げると、そこには雲ひとつない秋の夜空が広がっていた。


街灯に照らされた並木が夜風に揺れている。


(ふふっ……楽しみ。早く24日にならないかな……)


スキップしたくなる気持ちを必死に抑えながら、俺は自宅マンションへの道を急いだ。


自分のマンションに着き、階段を上りながら鍵を取り出す。


「ただいま」


返ってくるはずのない挨拶を、暗い部屋に投げかけて靴を脱ぐ。


まずは洗面所で手を洗い、ふと鏡を見た。


「……っ、まだ赤いし」


両手で熱を持った頬を包み込む。仕方ないじゃないか。


あんな至近距離で、あんな低い声で囁かれたら。


男とか女とか関係なく、誰だって恋に落ちてしまうだろう。


寝室のベッドにごろんと寝転がると、シーツのさらさらとした感触が火照った体に心地よかった。


お気に入りの枕を引き寄せ、その上に両肘をついてうつ伏せになる。


スマホの画面を点灯させ、震える指先で検索窓をタップした。


「彼氏 記念日 プレゼント 社会人」


打ち込む指先に、期待と不安が混じった妙な力が入る。


まず頭に浮かんだのは服だった。


けれど、尊さんのファッションセンスは洗練されているし、素材へのこだわりも強そうだ。


「シンプルで、質がいいものが好きだし……」

この先、こんなに尊い恋はない。2

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