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鳳蓮荘
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第二十八話:後日談と、終わらない争奪戦
あの劇的な夜から、数週間が経った。
合宿から戻った学園の日常は、表面的には以前と何も変わっていないように見えた。朝の登校風景、賑やかな教室、そして相変わらず男子生徒を骨抜きにしようと狙うサキュバスたちの甘い気配。
だが、明確に変わったことが一つだけあった。
「タカシくん! 今日の昼食、手作りのお弁当作ってきたの! 一緒に食べましょう?」
白銀美咲が、眼鏡の奥の瞳をキラキラと輝かせながら俺のデスクに駆け寄ってくる。
「あー! 美咲ズルい! タカシ、今日は私と一緒に屋上でパン食べる約束でしょ!?」
黒羽朱音も負けじと俺の腕に抱きついてきた。
そう、あの夜、サキュバスの本能と魔力を完全に失い「ただの人間」となった神城レオナ——生徒会長をはじめ、白銀さんと朱音の俺に対する好意は、魅了(チャーム)の力など一切関係のない「純度100%の愛」へと昇華していたのだ。
「二人とも、廊下で騒ぐのは感心しないわね」
パサッと扇子を閉じる音とともに、生徒会長——レオナが優雅な歩調で現れた。
魔力を失い、漆黒の翼もツノも消えたはずの彼女だが、その圧倒的なオーラと美しさは健在だ。
「タカシの昼食の相手は、生徒会長である私の権限で指定させてもらうわ。……もちろん、私の隣よ?」
「ちょっと会長! それこそ職権乱用じゃないですか!」
「そうだよレオナ! 会長職を理由にタカシを独占するのは禁止!」
「ふふ、なんとでも言いなさい。私はもうサキュバスのプライドも魔力も捨てたのよ? 欲しいものを手段を選ばず手に入れる……それが『ただの女の子』になった私の新しいルールよ」
不敵に微笑むレオナに、白銀さんと朱音も「キーッ!」と声を上げて対抗する。
魔力が消えても、魅了がなくなっても。
彼女たちの俺を巡る賑やかで甘い争奪戦は、終わるどころかますます熱を帯びて続いていく。
男子校が共学化して始まった俺の波乱に満ちた学園生活は、最高の「愛の形」を見つけたまま、これからもずっと続いていくのだった。
コメント
1件
第28話、読了しました! 魔力が消えて「ただの人間」になったレオナ会長が、むしろ人間らしい執着と美しさで輝き始めたのが本当に印象的でした。白銀さんの「お弁当」、朱音の「屋上でのパン」、会長の「職権乱用」——どのシーンからも、彼女たちの「純度100%の愛」が溢れていて、読んでいて温かい気持ちになりました。魅了から解放された後の、こういう賑やかで甘い日常がずっと続いてほしいですね。素敵な後日談をありがとうございました!