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翌日、放課後の帰り道でイレブンとセーニャは再び一緒に歩いていた。昨日の「特別な日」を思い出しながら、二人の間には自然と温かい空気が漂っていた。
「イレブンくん、昨日言っていた場所ってどこなんですか?」セーニャが期待に満ちた瞳で尋ねた。
イレブンは少し照れながら、でもどこか誇らしげに、「実はね、街の外れにある丘の上なんだ。そこからだと夕焼けがとても綺麗に見えるって聞いてさ、セーニャちゃんと一緒に行きたいなって思ってたんだ」と答えた。
「夕焼け…素敵ですね!」セーニャは瞳を輝かせながら、うっとりとした表情を浮かべた。「じゃあ、次の土曜日、一緒に行きませんか?」
イレブンは頷き、「うん、絶対に行こう。セーニャちゃんが喜んでくれるなら、きっと特別な場所になると思う。」と答えた。
土曜日が待ち遠しくて、二人はそれまでの数日間も毎日一緒に帰り、たくさんの話をして笑い合った。学校の友達もそんな二人を温かく見守っているようで、自然と応援するような雰囲気が広がっていた。
やがて、待ちに待った土曜日がやって来た。夕方に待ち合わせた二人は、手をつないで街の外れに向かって歩き始めた。途中、セーニャが少し足を止めたので、イレブンが心配そうに振り返った。
「どうしたの?疲れちゃった?」イレブンが気遣うように尋ねると、セーニャは少し恥ずかしそうに笑って答えた。
「いえ、ただ、すごく楽しみにしてたから、今少し緊張してしまって…」とセーニャは静かに言った。
イレブンはそんな彼女に優しく微笑んで、「緊張しなくて大丈夫だよ。今日は二人だけの冒険みたいなものだし、何があっても一緒に楽しもう」と言って、そっと手を握り直した。
やがて二人は、丘の上にたどり着いた。広がる景色に、セーニャは思わず「わぁ…」と感嘆の声を漏らした。空はオレンジ色とピンク色に染まり、夕焼けの光が二人を包んでいた。
イレブンは、夕焼けに照らされるセーニャの横顔を見て、ふと胸が高鳴るのを感じた。「セーニャちゃん、こんな綺麗な景色を一緒に見られて本当に嬉しいよ。」と、静かに言葉を紡いだ。
セーニャはその言葉を聞いて、少し顔を赤らめながらも微笑んで答えた。「私もです、イレブンくん。こうやって大切な人と一緒に過ごせることが、私にとって何よりの幸せです。」
二人はしばらくの間、言葉なく夕焼けを見つめていたが、心の中では確かにお互いの気持ちが通じ合っていた。
「また、こうやって一緒に色んな場所に行こうね」とイレブンが小さく呟いた。
セーニャは頷きながら、イレブンの手をぎゅっと握り返した。「はい、いつまでも一緒にいられるといいですね、イレブンくん。」
その日の夕焼けは、二人の心に深く刻まれ、忘れられない思い出として残ることになった。
次回もお楽しみに。