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誰にも会ってはいけない

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誰にも会ってはいけない

26 - 第3夜 暗がりの家②

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2022年03月04日

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この物語はフィクションです。

実在の人物、団体、事件等には一切関係ありません

「栗橋さん、ここをご存じなんですか?」

 だとすると奇妙な一致だ。

 N県佐久原市。

 新幹線の停まる駅ではあるが、観光名所というわけでもなく、県内で栄えている場所と言うわけでもない。

 この地方出身か、ここに縁がなければ降り立たないと言う人も多い土地だろう。

 僕の、実家のある場所だ。

「栗橋さん?」

 返答がないのが不思議で、思わずきょろきょろとあたりを見回してしまった。

 どこから声が聞こえているのかわからないが、なんとなく後ろを確認したり、上を見たりしてしまう。

「栗橋さん?」

 耳を澄ますと、静けさの中にくぐもった音がする。

 誰かが遠くで咳(せ)き込んでいるような、そんな音だ。

「栗は……」

「ああ。ごめん」

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