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古流斬
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チタコロ
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短編「古流斬の秘密 ―知らないふり―」
はるかに秘密を打ち明けてから数日。
古流斬は少しずつ元の調子を取り戻していた。
任務中は相変わらず無茶をする。
アイスのために行列へ並ぶ。
報告書を後回しにしてケイトに怒られる。
防衛軍の仲間たちは、いつもの古流斬が戻ってきたことに安心していた。
⸻
それから数ヶ月後。
ふとした違和感を覚え始める者がいた。
「……あれ?」
ケイトだった。
古い資料を整理していた時だった。
昔の写真に映る古流斬。
そして今の古流斬。
ほとんど変わっていない。
「気のせいか?」
そう思ったが、違和感は消えなかった。
⸻
ラントも気付いていた。
「そういえば。」
「こいつ全然変わらねぇな。」
昔から見ているからこそ分かる。
成長はしている。
だが老化していない。
⸻
やがて防衛軍の古参たちは薄々察し始めた。
誰も口には出さない。
誰も問い詰めない。
理由は簡単だった。
古流斬が隠しているから。
そして、それを話したくない理由があるのだろうと理解していたから。
⸻
ある日。
食堂でケイトとラントが話していた。
「気付いてるか?」
ケイトが小声で言う。
ラントは頷いた。
「ああ。」
「多分な。」
それ以上は言わない。
言う必要もなかった。
二人とも同じ結論に辿り着いていた。
⸻
少し離れた席では、古流斬がアイスを食べていた。
何も知らないような顔で。
何も気付いていないような顔で。
だが。
本当は気付いていた。
皆が察していることも。
それでも誰も聞いてこないことも。
だから古流斬も何も言わなかった。
⸻
ただ一人。
黒のユーマだけは気付いていなかった。
「父さんって若いよね。」
「健康だからじゃない?」
そんな認識だった。
はるかは苦笑する。
「まあ……そのうち分かるよ。」
ユーマは首をかしげた。
意味は分からなかった。
⸻
いつか。
ユーマも気付くだろう。
父が自分たちとは少し違う存在だということを。
それでも。
きっと変わらない。
古流斬は古流斬だ。
優しくて、不器用で、家族を大切にする人。
それだけは、どれだけ時間が流れても変わらないのだから。
コメント
1件
うわあ、このエピソード、じんわり沁みました……。周囲が気付いてるのに「知らないふり」を決め込む空気感、すごくリアルで。古流斬さん自身も気付いてるからこそ、あえて何も言わない。その相互の「見て見ぬふり」が、むしろ深い信頼の証みたいに感じられて。最後の「古流斬は古流斬だ」って一文、とても好きです。ユーマがいつか気付く日が来るのかな……その時も変わらない関係でいてほしい。