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古流斬
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チタコロ
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短編「閻魔の推測」
地獄。
閻魔の執務室。
仕事を終えた古流斬が椅子に座り、アイスを食べていた。
閻魔は書類から目を離し、静かに口を開く。
「古流斬。」
「一つ聞きたい。」
「ん?」
古流斬はアイスを口に運びながら答える。
「お前……どうして『曖昧』を手に入れた?」
古流斬は少し考える。
「分からない。」
「気付いたら使えた。」
閻魔は腕を組んだ。
「やはりな。」
「推測だが、お前の能力は最初から曖昧ではない。」
古流斬は頷く。
「認識を少しずらす能力だった。」
閻魔の表情が険しくなる。
「そこがおかしい。」
「能力は成長する。」
「威力も範囲も応用も増える。」
「だが……。」
「能力そのものの性質は変化しない。」
「それは世界の理だ。」
古流斬は黙って聞いていた。
閻魔は続ける。
「『曖昧』は、その理を完全に超えている。」
「この能力は……。」
「傲慢の『理想』に近い。」
古流斬は少し驚く。
「そんなにか?」
「ああ。」
閻魔は即答した。
「理想も曖昧も、世界の法則そのものへ干渉する能力だ。」
「だから本来、人間が扱える領域ではない。」
「傲慢は悪魔の最上位種だからこそ、『理想』を扱えた。」
「だが、お前は人間だ。」
「人間が同等クラスの能力へ到達すること自体、おかしい。」
古流斬は苦笑する。
「じゃあ俺は異常ってことか。」
閻魔は首を横に振る。
「異常ではない。」
「奇跡だ。」
「才能。」
「極限の環境。」
「そして、お前自身の執念。」
「その全てが重なり、世界で一度だけ起きた奇跡。」
「だからお前は、ルールの外側へ出てしまった。」
部屋は静まり返る。
古流斬は食べ終えたアイスの棒を見つめながら、小さく笑った。
「……そんな大層な存在になるつもりはなかったんだけどな。」
閻魔も苦笑する。
「世界というものは、案外理不尽だからな。」
二人は顔を見合わせ、小さく笑った。
世界の理を超えた人間と、それを管理する閻魔。
誰にも説明できない奇跡は、今日も静かに存在し続けていた。短編「閻魔の願い」
静かな執務室。
閻魔は古流斬を真っ直ぐ見つめていた。
「だから、お前には生きてもらわなければならない。」
古流斬は黙って聞く。
閻魔は静かに続けた。
「お前は世界の理を超えた唯一の存在だ。」
「その力は、世界を壊すことも、守ることもできる。」
「だから……。」
「守ってほしい。」
「これからも、この世界を。」
「人を。」
「そして希望を。」
古流斬は少しだけ目を伏せる。
閻魔は苦笑しながら言った。
「……すまんな。」
「きつい役割を背負わせてしまった。」
しばらく沈黙が流れる。
やがて古流斬は立ち上がり、小さく笑った。
「まあ、いいさ。」
「俺は元々、守るために戦ってきた。」
「役割が少し重くなっただけだ。」
閻魔は安心したように微笑む。
「ありがとう。」
古流斬は部屋を出る直前、振り返らずに手を振った。
「じゃあ、また仕事があったら呼んでくれ。」
「ただし、アイスを食べる時間だけは邪魔するなよ。」
「……そこは変わらんのだな。」
閻魔は思わず笑う。
「変わらないさ。」
その言葉を残し、古流斬は静かに部屋を後にした。
世界の希望を背負う者。
その肩に宿る重さは計り知れない。
それでも古流斬は、今日も前を向いて歩き続ける。
コメント
3件
第121話、めっちゃ熱かった…!「曖昧」の正体が“認識をずらす能力”で、しかも能力そのものが変化しないって世界の理を超えてるって閻魔の考察にゾクゾクしたわ。人間なのに理想級ってガチで異常というか奇跡やな…。でも最後の「変わらないさ」で笑い合うとこ、信頼関係が沁みた。アイス食べてるシーンも含めて、地獄でほっこりした✨ 次の話も楽しみにしてる🔥