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「アッシュ・サイトウ様宛に手紙が来ています。」
自分の部屋の前に宅配ドローンがやってきて、自動音声がそう言った。
「差出人は?」
「書かれていません。受け取りされますか?」
「はい。」
「ありがとうございます。それでは確かにお届けしました。」
差出人不明の自分宛の手紙、そこが僕の退屈な人生を大きく変えたんだ。
ネオシティセンターのすぐ東の地区がリバーサイドディストリクト。その名前の通り川沿いにあってフェリー乗り場もあったりはする。そんな川沿いのこの地区がクリフシティの中心地だった時代もあったけどネオシティセンターの再開発プロジェクト終結に伴って住民や企業の多くがネオシティセンターへ移っていった。今でもリバーサイドディストリクトの北の方には、市議会や政府機関のビルはこちらに置かれているし、いくつかの企業のオフィスもこちらに残ってはいる。南部の方は物流会社の拠点やアーティストのアトリエやギャラリー、デザイン事務所が点在する感じだ。でも商業活動の中心地といった雰囲気はもう完全に消えてしまったし、全体的に寂れた感じはする。そんな南部にあるよくある感じの物流会社の倉庫の前に自分は来ている。
「アッシュ・サイトウ?」
そう声をかけてきたのはアジア系の女性だ。
「残念ながらその通り。君は?」
「レイチェル・リー。それじゃあ案内するわ。」
彼女はそう言って倉庫の中に入っていく。僕はその後を追う。
「これは驚いたな。」
中にあったのは最先端のガジェットやハッキングに使われる専用機械、そして卓球台や冷蔵庫、快適そうなソファ、ネオシティセンターの巨大テック企業のオフィスみたいに快適そうだ。
「アッシュ、もう私たちが何者か理解してるんじゃないの?」
「噂には聞いていたが、サイバーリベルズ、謎に満ちたハッカーグループ。」
「そのとおり。他のメンバーを紹介するわね。」