TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



晴友くんに好きな子がいたのは、すごいショック。

でも、あきらめるなんてできないなら、前進あるのみ、だ…っ。

せっかくすこしは認められたんだもの。

アルバイトに入った頃と比べたら前進したよ。

だから、これからも前進できるっ。

へこたれたりなんか、しないぞっ。

今のわたしがしなきゃならないことは、一生懸命お仕事を覚えて、晴友くんにもっと認めてもらうこと。それだけだ。

「よし…!」

と、ぎゅっと手を握ったところで、カランとドアが開いた。

お客さまだ!

「いらっしゃいませ、カフェ『リヴァ―ジ』へようこそ」

「来店したお客さまにはこのあいさつをしなさい」って祥子さんに言われている。

その時、女の子はふんわりとスカートを持ち上げて頭を下げる。

「何名様ですか?」

「2名様でーす」

と指を2本立てたお客さまは、大学生くらいの若いお兄さんたち。

髪の色や雰囲気が…ちょっと怖い感じだ…。

この近くには海岸もあるから、よくこういうお客さまがいらっしゃるんだよな。

男の人はただでさえ苦手なわたし…。

前は美南ちゃんや拓弥くんが代わってくれたんだけど…今はふたりとも他の接客で忙しそうだ。

うう…。

緊張するけど…いつまでも人に頼っちゃいけないよね。

「どうぞお席にご案内します」

わたしはお兄さんたちをお席へご案内して、メニューの紹介などを始めたんだけど…。

「ねー、君さ、テレビに出てた子でしょ?」

わたしの説明を遮って、金髪のお兄さんが覗き込むように見上げてきた。

「ぇ、あ、はい…!」

急に質問されてびっくり。

恥ずかしいなぁ…。

「やーっぱりー。うわー近くで見るとメチャクチャ可愛いなぁ」

「やっべー。ねー君歳いくつー?」

「え…じゅ、17です」

「女子コーセーかぁ。だよなー大学生には見えないよなぁ。残念だったなコージ」

「るっせぇよ」

コージと言われた金髪の男の人が、向かいの真っ黒に日焼けした男の人を蹴って、がしゃん、とテーブルが音をたてた。

周りの人がちょっと驚いたようにこっちを見た。

「…で、では、注文が決まりましたお呼びくださ」

「え、ちょっと待って待って!おすすめ何だっけ?もっかい紹介してよ!」

「俺たちテレビ見てたまにーってケーキ食いに来たんだよね。君のおすすめ、紹介してもらいたいなー」

「え、えっと…でしたらホワイトチョコレートのケーキが本日のおすすめですが…」

「ホワイトチョコ?甘いんでしょ?俺苦手」

「でしたらスフレチーズケーキは…。あっさりしていて甘さ控えめですよ」

「あ、これ?小さくね?腹うまんないし」

「えっと…」

「はは!おいケータ!美少女ちゃんが困ってるだろー!」

ぎゃははは!と大きな笑い声が耳に痛い。

どうしてこんなに下品に笑うんだろう…。

ほんのり、お酒の嫌なにおいもする…。酔ってるんだな、この人たち…。

「とりあえずーコーヒーちょうだい?君が持って来てくれるんだよね?」

「あ、はい…」

「じゃ、待ってるねー!てか、キミが持って来てくれなきゃ飲まないからー」

「あははは!おま、ストレート過ぎ」

「だってそのために来たんだろー。じゃなきゃケーキなんてわざわざ食いに来ねって!じゃ、よろしくね。名前はえーっと…」

「……立花…です」

「ちがうちがう下の!」

「……ひ…日菜です」

『日菜ちゃん!』

「やっべーちょーまんまじゃん!めっちゃかわいいんだけど!」

「じゃ、待ってるね、日菜ちゃん!!」

やっと解放された…。

ほっとしながら席からはなれると、回りのお客さまも、まだ続いているふたりの大声に迷惑がっているのを、雰囲気で感じる。

テレビを見てわたし目当てに来たって…なんでだろ…。

どうしてわたしなんかをわざわざ見に…?

とりあえず…コーヒーを出さなきゃ。

とカウンターに戻ると。

「おい、日菜」

怒ったようなぶっきらぼうな声に呼ばれた。

「わっ…晴友くん…びっくりした、いたんだ」

「さっきからいたよ。おまえが気づいてなかっただけだ」

「……」

「あの客大丈夫か?」

「え、うん、うん大丈夫だよ」

そう言いながらも、コーヒーを用意する手は緊張したせいか、あの人たちのわたしに対する関心が怖いせいか…震えてしまう。

カシャンッ。

急に横から手が伸びて、コーヒーソーサーを乱暴に奪われた。

「俺が持って行く」

「え、いいよ…!」

「よくないだろ」

「だって…!」

わたしがテレビでヘンにでしゃばったせいで、ああいう普段は来ないような人たちが来てしまったんだ。

だとしたら、わたしが責任もって接客しなきゃダメだよね…。

それに、この先もああいう感じのお客さまは来るだろうし…成長しなくちゃ。

じゃなきゃ、晴友くんに認めてもらえないよ…。

「おねがい、わたしにやらせて…?」

真っ直ぐ見つめると、晴友くんは根負けしたみたいに「わかった」と引き下がった。

「おまたせしました」

コーヒーを持っていくと、まるでお酒が運ばれて来たみたいに、二人は手をたたいて喜んだ。

「早いねー!」

「さっすがー!」

何がさすがなのかわからないけど…。

「…ご注文はお決まりですか?」

「んとねーじゃあ俺はチョコレートケーキで」

うう…甘いもの嫌いってさっき言ってたのに…。

こういう人に晴友くんのケーキ、食べてもらいたくないな…。

「俺はーキャラメルパフェね。これってさー、日菜ちゃんが作ってくれるんでしょ?」

「あ、はい…」

「やりっ!じゃあさ、持ってきてくれた時に何だけどさ、メモもちょうだい?」

「メモ…?」

「日菜ちゃんの電話番号書いたメモ」

え…。

「実は俺さ、テレビで日菜ちゃん見て一目惚れしちゃって!今日はほんとは日菜ちゃんと仲良くなりに来たの」

「……」

「ねー日菜ちゃんって、彼氏いるの?もしくは好きな人とか」

「え…あ…」

「あんがいこの店のヤローが好きだったりするー?なんか見た感じ、イケメン多いよねーここ!」

「は、はぁ…」

「カレシいない?じゃあさ、俺がカレシとか、どう?」

ううう。めまいがしそう…。絶対に…嫌です…!

晴友くんの100分の1もかっこよくないし、お酒臭いし。

それに、すっごくすごく嫌な感じ。たとえ好意を持ってくれても、こんな態度なら晴友くんのイジワルの方がずっといいよっ。

断りたい。きっぱりと。

でも、どうやって言おう…。

「ねーね、まずはメールのやりとりからはじめよーよ!番号教えて?ラインやってる?ツイッターでもいいんだけど…」

断らなきゃ…。

どうしよう…。

どう言おう…。

コーヒーを配膳する間に、精一杯考える。

カタカタカタ…

ソーサーを持つ手が震える…。

断りたい…。

断らなきゃ…。

「ねー日菜ちゃ」

カシャン!

ソーサーをおこうとしたところで、急に伸びてきた手にぶつかった。

カップは大きく揺れ、コーヒーが大きく波打った。

「熱っ…!」

淹れたて熱々のコーヒーが、わたしの指にかかる。

それだけでなく、伸びてきたお兄さんの袖にもかかってしまった。

イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

21

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚