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コメント
1件
うわ……一気に引き込まれた。まず冒頭の階段を駆け下りる描写からして、息継ぎする暇もなくて、こっちまで苦しくなったよ。助けてくれた男の名前すら聞けなかったっていう美咲の一言が、めちゃくちゃ胸にくる。で、ファイルを開いたら「役割を分ければ誰も全体を知らない」って説明……この一文だけで組織の構造がゾッとするほどリアルだ。最後のノックのリズム、そして「神谷さん」って穏やかな声で呼ばれるラスト。もう続きが気になって仕方ない。るしゅさんの、情報の出し方と間の取り方が本当に巧いなあ、と毎回感心してる。
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#狂愛
柏木さくら
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#ホラー
天野 夢縁
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#タイムリープ
卵焼き
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階段を駆け下りる。
息が苦しい。
足がもつれそうになる。
それでも止まれない。
背中には、男から託された分厚いファイル。
「こっち!」
美咲が裏口のドアを開ける。
夜の空気が肺に流れ込んだ。
その瞬間。
ビルの二階から、大きな破裂音が響く。
バンッ!!
思わず立ち止まる。
「……っ!」
振り返ろうとした俺の腕を、美咲が強く引いた。
「見ちゃダメ!」
その声は震えていた。
俺たちは路地へ飛び込み、暗い住宅街をひたすら走る。
角を何度も曲がり、人通りの多い商店街へ出たところでようやく足を止めた。
息を整えながら、俺はファイルを見つめる。
「あの人……」
美咲は何も言わない。
ただ、静かに目を閉じていた。
しばらくして、小さくつぶやく。
「名前も聞けなかったね」
その一言が胸に刺さる。
俺たちは命を懸けて助けてもらった。
なのに、名前すら知らない。
「絶対に無駄にしない」
俺はファイルを抱き締めた。
「あの人も、Rも」
「ここで終わらせる」
美咲は静かにうなずく。
「うん」
その返事は短かった。
でも、迷いはなかった。
近くのネットカフェへ入り、鍵付きの個室に身を隠す。
店内は静かだった。
ゲームをしている人。
漫画を読んでいる人。
何も知らない日常がそこにある。
俺たちだけが、別の世界にいるみたいだった。
個室のドアを閉める。
ファイルを机へ置く。
赤いスタンプ。
**《極秘》**
ゆっくり開く。
一枚目。
そこには、組織の構成図が載っていた。
「これ……」
悠真の声が止まる。
思っていたものと違う。
トップ。
幹部。
末端。
そんな図じゃない。
丸がいくつも並び、線で複雑につながっている。
「会社……?」
「運送会社」
「広告代理店」
「人材派遣」
「中古スマホ販売」
「レンタルオフィス」
一見すると、どれも普通の企業だった。
「全部、関係あるの?」
美咲が息をのむ。
説明書きには、短くこう書かれていた。
**“役割を分ければ、誰も全体を知らない。”**
俺はページをめくる。
そこには赤い付箋が貼られていた。
付箋には、Rの字でこう書かれている。
**『ここからが本当の地獄だ』**
ページをめくろうとした、その時。
コンコン。
個室のドアがノックされた。
俺と美咲の動きが止まる。
店員……?
いや。
店員なら「失礼します」と声をかけるはずだ。
沈黙。
もう一度。
コン……コン。
ゆっくりと、二回。
そのリズムを聞いた美咲の顔色が変わる。
「……このノック」
俺を見る。
唇が小さく震えていた。
「組織の合図」
俺は反射的にファイルを閉じた。
ドアの向こうから、男の声が聞こえる。
「神谷さん」
穏やかな声だった。
「少し、お話ししませんか」
(第三十八話へ続く)