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🌍 世界観設定
『NaPoint:“私の名前”を使ってるのは、誰?』
 
 1はじまり:名前でログインする世界
 世界を席巻したアプリケーション──。
その最大の特徴は、「名前だけでログインできる」という簡易性だった。
 登録に必要なのは、名前ひとつ。
メールアドレスも電話番号も顔認証もいらない。
ただ名前を入力すれば、すぐに**“あなた用のポイントページ”**が生成される。
 NaPointは、世界中の人が参加するレビュー+紹介型ポイントサイトとしてスタートした。
商品の感想を書く、写真を上げる、友人に紹介するだけでポイントが貯まる。
貯まったポイントは、各国の電子マネーやギフト券に交換でき、世界中の人々が日常的に使うようになった。
 特に若年層には「自分の名前がブランドになる」という感覚が刺さった。
名前=信頼。名前=価値。名前=通貨。
名乗るだけで、生きることができる。
 
 2名前が“資産”になる時代
 NaPointには、AIによる「信用スコア(Naレベル)」が存在する。
これは、投稿内容・紹介実績・他者からのリアクションなどをもとに毎日自動で算出される数値。
スコアが高ければ高いほど、投稿が上位に表示され、特典や高還元の案件が流れてくる。
 こうして、人々は自分の「名前」を育て、飾り、流通させるようになっていった。
スコア付きの名前は売買対象にもなり、一部では「名前の転売マーケット」も非公式に生まれている。
誰かの名前を手に入れれば、信用も、フォロワーも、実績も引き継げる。
 “もう名前は、ひとつの“口座”と同じだった。
 
 3|2年後:だれも言わない異変
 アプリ開始から約2年。
目立ったニュースや事件はない。NaPointは今も便利で楽しいアプリとして、多くの人に使われている。
 ……ただし、ごく一部で小さな違和感がささやかれていた。
 「NaPointをやめたはずのアカウントが勝手に動いてる」
 「知らない商品レビューが、私の名前で投稿されてた」
 「クレカの履歴に“NaPoint関連業者”って書かれた請求がある」
 「昔使ってた名前を検索したら、今も“誰かが使ってる”みたいだった」
 「“名前を変えて逃げた方がいい”って言ってた人、いなくなった」
 
 でも、それらはあくまで“噂”だった。
確証もなければ、ニュースにもならない。検索してもヒットしない。
 それどころか、あるキーワードを複数回検索するとページが強制的に閉じられる現象まで起きているという──
 
 4|WPA:名前に介入する“世界警察”
 NaPointの影で、静かに動いている組織がある。
それが、。
正式には、世界規模の“信用人格監査機構”。
 WPAは、名前にひもづいた信用・通貨・人格の分裂・複製を検知する機関。
ある名前が「一定以上の国で同時使用」された場合、自動的に照合対象となる。
 WPAは表に出ることはない。逮捕も報道もされない。
だが、人々の間ではこうささやかれている:
「名前を持ってるだけで、捕まる時代になるかもな」
 
 
 
 5|この世界に生きる人々の感覚
 「本当の自分より、名前の方がうまくやってる」
 「私は名前じゃなくて、中身で評価してほしい……でも名前がないと稼げない」
 「名前って、なんだったっけ」
 
 名前が通貨になり、人格になり、犯人にもなりうる時代。
あなたの名前は、本当に“あなた”だけのものですか?