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上野文
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都築七美
278
てく
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「俺も早く上流神になりてえ。そうしたらお前に会わなくても好きな時に下界に降りられる」
「ならば早く私に追いつくのだな」
「けっ、上流神になる条件は教えねえくせに」
「それは自らが経験し知ることで意味を成す。精進せよ」
からかうように薄笑いする狐雲に、苛立った蛇珀は乱暴に腰を上げると背を向けて歩き始めた。
「蛇珀、あまり不必要に寿命を取り立ててはならぬぞ。仙界の規律が乱れる」
通常、下流神は力が弱いため、人の寿命を一度に引き受けるにはせいぜい十から二十年が限度である。
しかし蛇珀は下流であるにも関わらず神力が強いためその気になれば平気で百年など、寿命の残りすべてを取り立てることも可能であった。
当然そこまではしないものの、それに近いことは多々あったため、狐雲が手を焼いていたのは事実である。
しかし狐雲は蛇珀を好きであった。はねっかえりの小生意気が自身の幼い頃に重なり、なんとも憎めず、いつか人間嫌いが治りはしないかと願っていた。
そんな狐雲の気持ちなど知る由もなく、蛇珀は返事すらせずに霞の中に姿を消した。
「そなたを御してくれる人間と出逢えればよいのだがな。なかなか現れぬ。いやしかし、蛇珀はまだ若い故、焦ることはない。いつか、必ずや……」
今日こそその日かもしれぬ。
いつも蛇珀を見送る度、狐雲はそう期待を込め、祈っていた。
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