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萩原なちち
「……そんなに僕、怒ってましたか?」
「うん。俺のすること全部に怒ってた」
それは気まずい。大好きな人にとる態度じゃないよな、と反省する。
でも、まぁ……いい機会だ。
「僕は……だいきさんとスーパーで一緒に食材を選んで、お家でご飯を作って、『美味しいね』って言い合いながら食べて。シャワーを浴びた後は髪を乾かしっこして、一緒のお布団に入ってイチャイチャしたいです。だいきさんがしてくれた気持ちいいこと、全部僕もしてあげたい。休みの日は僕が目覚めるまで隣にいてほしいし、朝ごはんも一緒に作りたい。……ほんで、願わくば一緒に会社に行きたい!」
やりたいことが多すぎて、一気に喋りすぎてしまった。
少しでも言葉を止めてしまったら、一生言えないまま飲み込んでしまいそうだったから。
「じゃあ……結婚する?」
「え!? けっ、結婚!?」
「うん。俺はしゅうとの全部を独り占めしたい。お互いの望みを合わせると、そういうことになるでしょ?」
いつもはすぐふざけるくせに、こういう時だけイケメンを振りかざしてくるんだから。本当にタチが悪い。
「……仕方ないなぁ。こんな面倒くさい人、僕しか受け止められへんからな」
「それは俺も同じだけどね?」
「うわっ、離婚届取ってこよ」
「もう、結婚をネタにしないでよ!」
にこにこしているだいきさんを見ていると、また感情がおかしくなる。
あの時、車の中で「好きだ」と言ってくれた時と同じ……胸の奥が熱くなる感覚。
「あかん、なんか嬉しすぎて変なダンス踊りたくなってきた!!」
「ダメだって、それ時代劇観るテンションじゃないから!」
二人であほみたいなことで笑い合う。なんて楽しいんだろう。
「あ!結婚式は、やっぱり着物がいいですか?」
「もちろん。あ、でもしゅうとは好きな方着ていいよ?」
「……やっぱり『カレンちゃん』がいいですか?」
「違うよ!? 着物でもタキシードでも、しゅうとの好きな方でいいよってこと!」
「あ、そっちの『どっちでもいい』か」
「当たり前でしょ。俺は今の、しゅうとが好きなんだから」
「……はい」
急にデレてしまって、自分でも顔が熱い。勘違いした恥ずかしさもあるけれど、それ以上に幸せで。
「あ! 今度さ、みんなでパーティしない? 二人でご飯作っておもてなししようよ」
「じゃあ、まずは包丁を買いに行くところからですね。初心者すぎてワクワクする」
「マジで俺、家庭科の授業以来、包丁握ってないからね? 青天の霹靂だからね?」
「……愛は人を変えるんですねぇ」
「ね?」
ふざけて言ったことも、全部が優しく受け入れられてしまう。
何気ない一言まで、わざわざ照れくさくて、愛おしい。
奇跡みたいなこんな日々が、ずっと、ずっと続いていきますように。
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