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#普通
野々さくら
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ありあ
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朝の柔らかな日差しが校門を照らし、生徒たちの賑やかな声が校舎へと吸い込まれていく。
信愛が昇降口へ向かって歩いていると、後ろから元気な声が飛んできた。
「信愛おはよ♬」
振り返ると、手を振りながら駆け寄ってくるさくらの姿があった。
「あ、さくら♬おはよ♬」
信愛も自然と笑みを浮かべる。
二人は並んで歩き始めると、さくらは少し表情を曇らせながら信愛の顔を覗き込んだ。
「てかさ?信愛ってあれから体大丈夫?」
信愛は首を傾げる。
「体って?」
「ホラ! 千歳さんの時に自分から
佳苗に取り憑かれに行ったじゃん」
あの事件を思い出しながら、さくらは心配そうに続ける。
「あれから気分悪くなったりしてない?」
信愛は一瞬だけ思い返したあと、安心させるように笑った。
「ああ、それね」
そして軽く肩をすくめる。
「全然大丈夫だよ」
その返事を聞いたさくらは、ほっと胸を撫で下ろした。
「そっか、なら良かった」
信愛は照れくさそうに微笑む。
「心配してくれてたんだ」
その笑顔には素直な嬉しさが滲んでいた。
「いや、当たり前でしょ友達なんだから」
「ありがとうさくら」
そんな穏やかな空気のまま昇降口へ足を踏み入れた、その瞬間だった。
「ちょ、何これ!?」
信愛が驚きの声を上げる。
その視線の先には、掲示板いっぱいに貼られた色鮮やかなポスターが何枚も並んでいた。
「ん?どうかした?」
事情が分からないさくらが近寄る。
信愛は興奮気味に掲示板を指差した。
「これだよこれ!」
さくらも掲示板へ目を向ける。
「どれどれ」
そこには派手な紫色のデザインと共に、大きくこう書かれていた。
『怪異探求倶楽部部員募集中』
さらにその下には、
『心霊現象にお悩みの方
お気軽にご相談ください
我々が万事解決してさしあげます
興味がある方は北側校舎2階
怪異探求倶楽部部室まで』
という大胆な文章が踊っている。
「なに! これ!」
さくらも思わず目を丸くした。
「部員募集中って」
信愛は苦笑いを浮かべながら額に手を当てる。
「絶対に茜と八乙女くんでしょ!」
そしてポスターの文面を指差す。
「しかもこれ!心霊現象にお悩みの方ってやつ!」
さくらは呆れたように笑う。
「これって絶対、信愛の事言ってるよね?」
信愛は深いため息をついた。
「まったくもう! 茜ったら勝手な事を」
そう言うなり掲示板からポスターを一枚勢いよく剥がし取る。
「問い詰めなきゃ!」
ポスターを手に握り締めた信愛は、さくらと顔を見合わせると、そのまま二人で教室へ向かって駆け出した。
◇ ◇ ◇
登校してきた男子は、昇降口の前で足を止めた。
視線の先には、生徒たちが何やら騒いでいる掲示板がある。
「ん?なに?あのポスター・・・」
気になった男子は、人混みをかき分けながら掲示板へ近づいていく。
そこに貼られていたのは、普段は見慣れない、紫色を基調にした派手なポスターだった。
『怪異探求倶楽部部員募集中!』
男子は眉をひそめる。
「怪異探求倶楽部?」
思わず苦笑が漏れた。
「そんな漫画みたいな部活あるんだ・・・
ミステリー研究会みたいな感じかな?」
しかし、笑い飛ばそうとしていた視線が、ある一文で止まる。
『心霊現象にお悩みの方、お気軽にご相談ください我々が万事解決してさしあげます』
男子はその文字をじっと見つめた。
胸の奥で、あの声が蘇る。
『私はやってないの』
『信じて・・・お願い・・・』
毎晩のように聞こえる、正体不明の女の声。
男子は小さく息を飲んだ。
(でも、心霊現象にお悩みの方・・って)
自分でも馬鹿げていると思う。
幽霊なんて信じていなかった。
けれど、あの声だけは説明がつかない。
(もし、あの女の声が心霊現象だったとしたら)
ポスターに書かれた文面を、もう一度見つめる。
(本当に解決してくれるのかな?)
期待と疑いが入り混じる。
こんな部活が本当にあるとは思えない。
誰かの悪ふざけかもしれない。
それでも、ポスターの下には部室の場所までしつまかりと明記猿はている。
北側校舎二階、怪異探求倶楽部部室。
悪ふざけにしては完成度が高い。
男子はその文字を静かに読み上げる。
「北側校舎の二階か・・・」
少し考え込んだ末、小さく息を吐いた。
「騙されたと思って、昼休み行ってみようかな」
そう呟くと、男子はポスターから目を離し、ゆっくりと教室へ向かって歩き出した。
コメント
1件
×××さん、第66話読みました!新章「カサンドラの聲」の幕開け、さっそく気になる展開ですね。信愛たちが元気いっぱいなやりとりを見せてくれる一方で、あのポスターに足を止めた男子生徒の「女の声」の描写が一気に不穏な空気を運んできて、この対比がすごく好きです。幽霊なんて信じていないけど、説明できない声に悩む彼が「騙されたと思って」部室へ足を運ぶ決意をする最後の一文、心に残りました。これからどんな怪異が待っているのか、続きがすごく気になります!