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#普通
野々さくら
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ありあ
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教室の扉を勢いよく開けた信愛は、真っ直ぐ茜の席へ向かった。
「ちょっと茜!?」
突然名前を呼ばれた茜は、きょとんとした顔で振り返る。
「あ、信愛!♬おはよ♬」
その能天気な笑顔を見た信愛は、手に持っていたポスターを茜の机へ勢いよく叩きつけた。
「このポスターは何?」
机の上に広がった派手なポスターを見た茜は、胸を張って得意げに笑う。
「私と焔垂でチョッピーに作ってもらったんだよ」
まるで自慢の作品でも披露するかのような口ぶりだった。
「ね?よく出来てるっしょ?」
さらに満足そうに続ける。
「今はAIに頼めば何でも出来ちゃうから
すごい時代だよね♬」
信愛は思わずため息をついた。
「まぁ、確かによく出来て──」
そこまで言いかけて首を横に振る。
「ってそうじゃなくて」
信愛は真剣な眼差しで茜を見据えた。
「何で私が心霊現象に悩んでる人を
救う人みたいになってんの?」
その問いに、隣で聞いていたさくらが即座に頷く。
「そうだよ!」
さらに腕を組み、茜を睨む。
「信愛に相談しないで勝手にするなんて!」
だが当の信愛は、困ったように肩をすくめた。
「それに私は別に倶楽部に入ったつもりないけど?」
「えー!?」
茜は大げさに驚き、さくらも呆れたように笑う。
「何驚いてんのよ」
それでも茜は悪びれる様子もなく笑った。
「旅は道連れ、死なばもろともじゃん」
信愛は額に手を当てる。
「なんで一緒に死ぬ覚悟持たなきゃいけないのよ」
呆れ顔のまま問い返した。
「てか茜は倶楽部に入った訳?」
茜はあっさりと頷く。
「まぁね」
その返事にさくらが目を丸くする。
「あ、入ったんだ」
信愛は深いため息を吐きながら、ポスターを丸めた。
「まぁ、とにかく」
そのまま茜へ突き返す。
「こんなポスター、早く片付けてよね?」
茜は唇を尖らせながら受け取った。
「ちぇっ・・・分かったよ」
そして小さくぼやく。
「せっかく徹夜して作ったのにぃ~」
その様子を見て、信愛は心の中で苦笑する。
(まったくもう)
◇ ◇ ◇
昼休み。
怪異探求倶楽部の部室。
信愛は腕を組みながら茜を見つめていた。
「分かった?」
茜はしゅんと肩を落とす。
「はい・・・すいません」
隣では焔垂も申し訳なさそうに頭を掻いた。
「悪かったよ・・・」
そんな二人を見ていたさくらが、不思議そうに首を傾げる。
「てか何でこんな『依頼承ります』
的な事書いちゃったわけ?」
茜は信愛の方へ視線を向けた。
「信愛はほら、今まで佳苗や
千歳さんを救ってきたでしょ?」
信愛は静かに聞き返す。
「それで?」
茜は少し照れくさそうに笑った。
「その力でまた誰かを救えたらなぁって」
「いや、それを信愛が言うのは分かるけど
2人が言うセリフじゃないっしょ?」
「はい・・確かにそうでした・・・」
さくらの口から放たれた『ごもっとも』と書かれた矢印状の槍が茜の胸を容赦なく突き刺さる。
その言葉に、信愛の表情が少しだけ和らぐ。
「あのね?茜?」
穏やかな声で語り始めた。
「霊感があって霊視ができて
おまけに除霊ができる」
少し間を置いて続ける。
「それをある種のステータス
みたいに感じてるかもしれないけど」
信愛は静かに首を振る。
「事はそう単純じゃ無いんだよ?」
焔垂が真剣な表情で尋ねる。
「どういう意味だ?」
信愛はゆっくり息を吐いた。
「私もお母さんから聞いて初めて知ったんだけど」
全員の視線が信愛へ集まる。
「霊視ってね? 私から放たれてる霊気と」
言葉を選びながら続ける。
「霊から放たれてる霊気が
ぶつかった時の霊圧の影響を使って
霊を目視する行為なんだって」
「霊気に霊圧・・・」
焔垂聞き慣れない言葉を副賞するように呟く。
信愛は静かに頷いた。
「ようは私が霊を目視できてるって事は」
一度言葉を切り、全員を見渡す。
「霊も私を目視出来てるって事なの」
その一言に、部室の空気が張り詰めた。
茜が恐る恐る口を開く。
「なら視て視ぬフリはできないって事?」
信愛は迷いなく頷いた。
「そういう事」
その表情には、冗談の欠片もなかった。
「私の存在を認知した霊の中に」
信愛はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「殺そうと思えば私を簡単に
殺せちゃう悪霊が居たりしたら」
静寂が部屋を包む。
「私は間違いなく死ぬ」
その言葉の重みに、茜の顔から笑みが消えた。
「え!?まぢ!?」
信愛は即座に首を横へ振る。
「まぢだよ!」
焔垂も神妙な面持ちになる。
「そんなに危険なのか・・霊視って行為は・・・」
信愛は小さく息を吐いた。
「人間に通り魔が居るように
霊にも凶悪な霊が居るかもしれないしね」
焔垂は何かを思い出したように顔を上げた。
「貞⚪︎とか伽⚪︎子みたいな?」
信愛は苦笑いを浮かべる。
「あれは映画だけど、実際にああ言った悪霊は居るよ」
その一言で、部室の空気はさらに重くなる。
茜は唇を噛み締め、俯いた。
「私・・信愛を危ない目に遭わせる所だった」
震える声で続ける。
「ご、ごめん・・・」
信愛は優しく微笑んだ。
「分かってくれたなら良いの」
責めるような口調ではなく、安心させるような穏やかな声だった。
「これ以上責めるつもりもないし」
焔垂はほっとしたように息をつき、頭を下げる。
「あ、ありがとう・・・」
コメント
1件
×××さん、こんにちは!みぅです🤍 今回のエピソード、すごく心に響きました…。信愛の「霊も私を目視できてる」っていう台詞が、重くて切なかったです。茜が無邪気にポスター作っちゃったのも分かるし、でも信愛の立場からしたら巻き込みたくない気持ちが伝わってきて……。焔垂が「貞⚪︎とか伽⚪︎子」って聞くところ、シリアスなのに思わず笑っちゃいました。みんなの関係性が丁寧に描かれてて、もっと読みたくなりました!次も楽しみにしてますね🥀