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その日の夜、お茶会から帰宅した後結果を父上に話した。

お茶会の出来事、アドリアン主催のお茶会に招待されたこと。

説明をしたのだが、話が進むたびに父上の顔は青くなっていった。

そして、全てを話終わった後、父上はこう言った。

「……まずはアドリアン殿下のお茶会については参加しなさい。せっかくご招待されたんだからね」

「わかりました」

まずはそう話を切り出された。

……そしてシンが入れていたハーブティーを一口飲むと、頭を少し抑えながら発言した。

「パトラス侯爵家から招待があったから中立派に所属することはわかっていた……社交界で有力な家と関係を築けた……。それなのに……はぁぁぁぁ」

「キアン様、最高級のハーブティでございます」

「ありがとう」

少し発狂しているようだった。

父上は大きくため息をするとシンに入れてもらったお茶をグビグビと飲む、すごい勢いだ。普段の父上からは想像もできない。

なんか最近やつれているなぁと思いつつ、様子を窺う。

中立派に属することは想定内だった。なら、故こんなにも顔色が悪いのだろう?

パトラス侯爵、ガイアス辺境伯、ウォーウルフ子爵家など有力な家と関係が築けたことを喜ぶのなら、慌てる理由がわからない。

そう思っていたら父上の次の発言でわかった。

「何故コーラル侯爵家と険悪になるようにしたんだい!……しかも今日招待していた家の中には家同士で付き合いがあったんだよ。……アレイシア嬢との婚約後もやり取りだけはしてくれていたけど、完全に険悪になったらこのままじゃ赤字に……いや、その前に物資が」

「キアン様、お茶です」

「ありがとう」

再び一気飲みをしてぶつぶつと呟く父上。

……失念していた。領の統治に関することはほとんど関わっていなかった。

父上の書斎に通い続け領内のことはある程度知っていた。だが、他領とのやりとりはあまり関わっていなかった。

僕は考えなしの行動をしてしまった。

ここは反省すべき点だ。

少なくとも僕の知っている範囲でガスパルの家とやり取りはなかったはず。でも、参加している家でユベール家とやりとりがあったなんて知らなかった。

……いや、そもそも自己紹介無しでお茶会が始まった時点でおかしいのだが。

原因はどうあれ、お茶会での言動はもう少し慎重にするべきだった。

目先の問題を片付けるのに必死で失念してしまった。

言い訳じみたことを内心で考え続けるが、まずは謝罪だ。

「父上、すいませんでした」

「いや、少し取り乱してしまったね。僕も言いすぎた。……そもそも原因は最低限の体裁すら保たなかったコーラル侯爵家の子息だ。アレンも自己紹介で名前を把握できればうまく立ち振る舞えたと思う。権力の差し替えが目的のお茶会を開いたパトラス侯爵家にも非がある」

「ですが、もっとやりようはあったはず」

「いや、緊迫感で思考もまともにできない状況ではアレンは最良の選択をしたと思うよ。……レイル君は元々権力の差し替えを目的にしているから今の状況は遅かれ早かれなっていた。……贅沢を言うならもっと時間に余裕が欲しかったけどね」

父上が落ち着きを取り戻した。

そして冷静に思考して現状の整理をしてくれた。

確かに元々権力の差し替えが原因ならそうなってもおかしくなかった。

だが、もう少し遅ければ備えることができた。

もう手遅れだ。

……少し整理をしよう。

今父上が気にしているのは領の財政と物資の問題だろう。

補足すると、他の領とのやりとり。これに関して領と領の間で合意する形で行っている。

ようは貿易みたいな感じだ。互いが納得する価格を提示して合意すればやりとり成立。

その判断はグラディオン王国の物価や領内の生産量が関係する。

ユベール伯爵領でも食料を生産している。それでも足りない部分があるので他の領内とのやり取りで賄っていた。

これからはやりとりで前よりも高い金額を請求されるだろう、そのせいで交渉は不成立。

今は貯蓄があるとはいえやりとりができなければ少しずつユベール伯爵領の財政は圧迫され、ユベール伯爵領は衰退。

領民は離れてしまうだろう。

打開策を提案していこう。

今必要なのは新たな財源、物資の供給源の確保。

一番優先すべきは財源の確保。

「父上……提案があります」

「……」

「少しは信用くださいよ。……いや、本当に」

話を切り出すも、父上は黙って目を細める。

いや、無言はやめてくださいよ。

「……聞こうか?」

父上は僕への信用は薄いのかもしれない。

だが、今は打開策が必要でこの原因は僕だ。

なら、この現状の解決する役割は僕が担うべきだろう。

「ウォーウルフ子爵家に合同事業を持ち掛けるのはどうでしょう?」

そう提案したのだった。

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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