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「しかしながら、アルヴィアンに爵位を与えたのは当時の国王陛下です。そのような発言は国王陛下に対する謀反になるのでは?」
俺がそう言うと彼らは黙りこむ。実際その通りだ。隣国から亡命してきた初代アルヴィアンに候爵の地位を与えたのは当時の国王陛下である。その判断が間違いだったという軽はずみな発言をすることは危険な橋を渡るようなものだ。亡命してきた単なる貴族に候爵位を与えたという事実から読み解ける真実がある、多くの貴族たちはそこまで頭が回らない。それはアルヴィアンは使い道があったということであり、アルヴィアンをなだめる必要があったことを意味する。そこに気がつけば、もう少し適切な結論を出すことができるはずなのにな。
「失礼、あなたの名前は?」
「クインです。王都で発行される複数の新聞や雑誌に文化や思想についての記事を執筆しています。」
「君は平民か?」
「ええ、爵位は持ちません。でも多くの味方がいます。国内にも国外にも。彼らは爵位を持っていますよ。だから私はここにいて無礼な発言ができる訳です。では失礼いたします。素敵な夜を。」
クイン。俺が使う偽名の1つだ。王都の複数の新聞や雑誌に対する記事の寄稿で知られる謎の人間で、最も王都における影響力がある文化人ともされる人間。アルヴィアンは複数の顔を持つ。これは今も昔もそうだ。
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