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🫧想美🎐🍏
15
「……」
若井と元貴は、一瞬言葉を失った。
どう説明すればいいのか分からない。
でも、
黙ったままにもできなかった。
「……涼ちゃん」
「……亡くなりました」
その瞬間、
男性の表情が固まる。
「……え」
「……数日前に」
元貴が静かに続ける。
「家で」
男性はしばらく何も言えなかった。
信じられない、という顔。
「……そんな」
小さく呟く。
「だってこの前まで……」
そこまで言って、口を閉じる。
若井は俯いたまま、
「……俺ら、何も知らなくて」
絞り出すように言う。
「病気のことも」
「……」
「余命のことも」
男性の目が揺れる。
「……余命、って」
「遺書に書いてあったんです」
元貴が答える。
「でも病名は最後まで教えてくれなくて」
静かな沈黙。
夕方の風だけが通り過ぎる。
男性は少し困ったように視線を落とした。
「……藤ちゃん」
小さく息を吐く。
「最後まで、人に心配かけないようにする子だったから」
「……」
若井の胸が痛む。
まさにその通りだった。
「……かなり無理してました」
男性は静かに続ける。
「本当はもっと早く休むべき状態だった」
「……っ」
元貴が唇を噛む。
「でも、“仕事休みたくない”って」
「……」
「“2人に迷惑かけたくない”って、ずっと言ってましたよ」
その言葉で、
若井の目からまた涙が落ちた。
「……なんでだよ」
震える声。
「迷惑とか、思うわけないのに……」
男性は少しだけ目を伏せる。
「……病名については」
言いかけて止まる。
医者として、
どこまで話すべきか迷っている顔だった。
「……本人が、最後まで秘密にしてほしいって言ってたので」
「……」
2人は何も言えない。
涼ちゃんらしい。
最後まで、
全部一人で抱え込んで。
「……でも」
男性は静かに続ける。
「藤ちゃん、本当にあなた達の話ばっかりしてましたよ」
若井と元貴が顔を上げる。
「“今日は若井がこんなことしてた”とか」
少し笑う。
「“元貴がまた無茶してる”とか」
「……っ」
「すごく大事だったんだと思います」
その言葉に、
2人はもう何も返せなかった。
次回2000
コメント
2件
ああもう……冒頭の「……亡くなりました」の一文で全部持っていかれました。涼ちゃんがずっと隠してたこと、それを最後まで貫いた優しさが、むしろ読んでて胸が締め付けられます。「2人の話ばっかりしてましたよ」って医者の言葉が、すべてを物語ってる。若井くんの「なんでだよ」に涙が止まらなくなった……切なすぎる回でした。