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「よーし!いいかクソガキ?こっから先は今以上に私を守れ!」
「大きく出たなクソ魔法使い!」
「こっから先は私がめちゃくちゃ狙われるからなんとしてでも守るんだ。お前の生死は問わない。」
「今ここで裏切ってもいいんだぞ?」
「とにかく数的有利を崩したくないからなんとしてでも守ってもらう。それに、時間をかければ援軍が駆けつけてくれるからな。」
「私らの味方がいるのか!?」
「いや?全然漁夫の利を狙ってる他プレイヤーだけど?」
「第三陣営を呼び寄せないでくれる?」
「けど、私の魔法のおかげでその漁夫プレイヤーのうち一人がすごい速さでこっちに来てるんだ。しかも同じような考えをしてるプレイヤーをなぎ倒しながらな。」
「これ以上化け物とやり合いたくないよ私」
「逆に言えばコイツがここにこれば三つ巴の戦況が生まれるから上手く利用してカールマを倒す。そのために私を生かせ。」
「でも私の生死は問わないんだよね?」
「うん。」
「クソだよやっぱり!」
(この子達の他に誰かがこちらにやってくる?漁夫の利を狙う低級のプレイヤーとはまた別の何かがいるって言うことか。現に彼女は『他のプレイヤーをなぎ倒しながら』と話してる以上その何者かの実力はこの辺で隠れてるつもりの低級のプレイヤーよりは強く、1歩間違えればこの二人の強さを足してなお足りないくらいの強さを備えてるやつかもしれん。もしそうなら私では倒すことは困難になる。であれば、その何者かがたどり着く前にこの2人を倒す。最悪どちらか片方だけ倒しその何者かとの戦闘を避けるため退却することも頭に入れておかないといけないか。)
「さぁクソガキ!神に祈った後遺書も書いたか?」
「祈ってないし書く暇なかったけどね?」
「これから超理想的なプランを一旦伝える。」
「超理想的なものを伝えられてもなぁ…」
「で、その理想とは五分以内にカールマを倒してこの場を逃げること。」
「おう、超理想的だなそれは。」
「なので、現実的なことを言うと第三勢力の何かがここに来るまで耐久をするということだ。」
「その何かがここに来るまでどのくらいかかるか分かるの?」
「私の予想では最短五分、最長十五分って所かな?」
「めっちゃ早く来るじゃん…。」
「なので私らは最大十五分カールマとやり合うが倒すことよりも二人が生存することを目的とする動きをする。」
「具体的には?」
「とにかく相手の攻撃を避けることと隙があれば適当に攻撃して相手の体力を削っていく。私は近寄られたらおしまいなのでサポートに回る。土の壁とかでアンタの荒い動きをカバーしてやるからその分私を生かしてもらおう。」
「VIP対応してくれってことですかそうですか。」
「それじゃあ頼むぞクソガキ!」
「私もやられたくないから今は使われてやるよクソ魔法使い!」
(来る!やはりミーシャは後衛についてベルノをサポートする陣形をとるみたいね。ベルノ単体はそんなに火力はないけど最初にあった時感じたあの速さは彼女の最大の武器である。そして魔物使いとしての攻撃方法、様々なモンスターを呼ぶ人海戦術のようなもの。確認できてるのはスライムに猪、そして狼と三種類だけだけど狼と組まれると厄介なことこの上ない。獣と同格の速さで小突かれたら守護者と言えど体力が削られておしまいよ。だからまずは彼女の動きを封じてミーシャを叩く!)
「悪いけどベルノには少し待っててもらおうかな?」
「やるのは最後にしてやるってやつだ!」
「だから大人しくしててね?」
「でも、大人しくしてるとクソ魔法使いに死んでも殺されるから無理!」
「何そのあったま悪い脅し文句。とにかくあんたは面倒なのでそこで捕まっててね!
【風牢】 トリカゴ」
「ふぇぇ!?コレってさっきアンタが使ってたやつじゃないの!?」
「似てるけどそっちはドーム型、相手を閉じ込めるのに特化してる訳よ。そんじゃあ身動きが取れないお子ちゃまは置いといて、まずはアンタだ!」
「なるほど?魔法使いという後衛職を前衛職のパッションで叩き潰すわけだ?ものすごくに理にかなってるのでやめてもらってもいい?」
「無理に決まってるでしょ!」
距離を詰めて槍斧で叩きつけるもバク転によってあっさりと回避される。
「へぇ?随分と身動きが軽い魔法使いさんね?」
「カバー出来る弱点はカバーするでしょ普通。まぁ…筋力パラメータとかはあんたらに劣るから分が悪いことには違いないけどね? 」
ナチュラルに会話をしながら土の壁をカールマの足元から生やしてアッパーをかます予定だったがカールマもそれを予想してたのか軽く後ろに下がり攻撃を避ける。
「魔女ってみんなそういう性格してるの?」
「ほかの魔女を私はまだ知らないからなんとも言えないけど、少なくとも私はこういう事はするよ?」
「だいぶ嫌な奴ね?」
「PvPは人の嫌なことを押し付ける戦いよ?お人好しは向いてないからイベントには参加しないでストーリーメインでやったらどう?」
「結構なこと言うわねぇ?青臭いガキが舐めてんじゃないわよ!」
槍斧に風を纏わせ威力を底上げし先程作られた土の壁を壊しふたたび斬りかかる。それを自爆覚悟でミーシャは地面に火球を放ち相手にダメージを与えつつ距離を置く。
「やっぱり近寄られるのは嫌よねぇ?」
「そりゃねぇ?私の職的に後衛から高火力をぶつける訳だし逆にアンタも距離空けられると嫌でしょ?お互い様なのよねぇ。」
「けど、ベルノは今風の檻の中。あなた一人で私を倒せると思ってる?」
「いーや全く?なので何とかして風の檻を壊すなりして数的有利も取りたいんだよねぇ」
「随分とスラスラ作戦を話すわね?そこも含めて作戦ってわけ?」
「こーやって言わないとクソガキは理解出来ないからね。まぁ、あれを打破する方法も思いつかないし思いついたとしてもアンタは阻止するでしょ?」
「そりゃもちろんね?」
「だーよね〜……。なら私がやることはアイツを信じて少しでも長く生きること。」
「そう長くは生きれないだろうけどね!」
再度槍斧に風を纏わせたかと思えばそれを飛ばしてきて中距離戦を始める。
(あーなるほど?中距離と言えどこの速度で飛ばされるとこっちの魔法も使うとしても程度の低いものしか出せず撃ち負ける上にこっちのMPが枯渇してジリ貧でやられるわけか…。【魔法複合】も択としてはありだけどその隙がないのも事実。土の壁を使うのも考えたけど自ら視界防ぐのは愚策すぎるので却下だな。そうなるとそうだなぁ……。)
「魔法使いが攻撃だけの脳筋職だと思ったら大間違いだぞ?」
「なに?」
「バフ系だって覚えられるものが幾つかあるんだよ。【スピアプ】」
【スピアプ】を唱えるとくるぶしあたりに風を思わせる模様が浮かび上がり一時的に動きが早くなる。
「足が早くなるだけのバフだけど今のこの風を飛ばしてくる技を避けるには丁度いいもんだな?」
「いい意味でアンタ私の固定概念を壊してくれんじゃん?」
「よく分かんないけどそりゃどーも。」
「とはいえ、足が早くなった程度じゃさして状況は変わらないけどね?」
(それはごもっとな意見だ。だって私はただ足が早くなっただけで攻撃に転じる何かがある訳では無いし結局後手に回ってる事実は残る。が、それでいい。こうして会話して【スピアプ】で時間稼いでれば『何か』が直ぐに到着してよりこの場がしっちゃかめっちゃかになるわけだ。そのがやを隠れ蓑にして私とベルノは逃げる。それでいい。)
「…けど、残念。アンタもその魔法を買ったなら知ってるでしょ?」
「……おいおい、まさかのまさかか?」
「そう…そのまさかだよ。」
次の瞬間カールマの足にもミーシャと同じ模様が浮かび上がり数センチだが宙に浮く。
「【スピアプ】はどの職業でも買えて使える汎用魔法の一種。しかし大抵の人はそんなものよりも目に見えて分かる攻撃魔法や火力をあげるバフ魔法にばかり目がいってこういった魔法は日の目を見ない。故にアンタも選んだんでしょ?斜め上の発想を行く手段になり得ると。」
「という事はアンタもその結論に至ったのか……。」
「マイナーなものは『マイナー』だからこそ攻略法が開拓されてるものがほとんどなく知ってる者も少ない。故に相手の虚を付いた攻撃が可能となる。もちろん1発ネタに近いがそれでも今この瞬間を取れるなら1発ネタで構わないわけよ。」
「…ッスー………。さすがの私もそれは予想外かも。速さだけでも有利が取れるならやれそうな択が幾つかあったんだけどあんたも使うとなると結局振り出しに戻ったのと変わんないもんな…。」
「さぁどうする?ベルノちゃんは未だ風の檻の中。助けは来ないわよ?」
「……いや、助けは来たみたいだ。」
「なに?」
「とは言っても私の味方ではないからなんとも言えないけどね?」
そういう彼女の背後から巨岩が投擲され三人の居る場所に落ちる。
巨岩は爆音を鳴らし地を揺らし地形を崩していく。【スピアプ】を使った二人は余裕を持って回避したがベルノは風の檻によって身動きが取れなく直撃する。が、不幸中の幸いというべきか風の檻のお陰で何とかダメージを負わずに済んだようだった。
「い、今のは何!?」
「私らの会話を聞いてたなら察しが着いてるだろ?」
(ものすごい速度でやってくると言ってた第三勢力の『何か』。その一撃とでも言うの!?)
巨岩が飛んできた方向を見ると十数メートル級のゴーレムがこちらに向かって走ってきており、その付近で待機していた漁夫プレイヤーは恐らく踏み潰されてそのゴーレムのポイントになったんだろう。
距離が近くなり三人の近くまで来ると減速しゴーレムは片膝を着いて左手を腹の前に出し彼の頭の上から小さな生物がぴょんぴょんと跳ねて彼の手のひらの上に着地した後そのまま地面までゆっくりと動かしその小さき生物を下ろす。
「すみません。”うち”のベルノちゃんが酷い目にあってると思って駆け寄ったんですが、どちらがベルノちゃんをいじめる悪い人ですか?」
降りてきたのはベルノと同じくらいの身長だが雰囲気は既にこちらが想像してる年齢以上の何かを感じる。見た目は黒髪ロングでいわゆるゴスロリ風の衣装に身を包み顔はその歳でしていい美形ではないという感じだ。同年代の男の子は直視できないだろうなうん。で、この子が恐らくベルノが探していたお友達の『ルーマ』ちゃんで間違いないだろう。
「それでもう一度確認したいんですけどベルノちゃんを酷い目に合わせたのはどっちかしら?」