俺は真田。
恋について何もわからない中1男子だ。
今日は席替えの日、
仲がいい穴山と隣がいい。
それと、最近仲がいい竹林さんとも…
最近竹林さんをよく考えてしまう。
でもみんなが言うようにドキドキは全くしないし、
普通に話せるから多分仲がいい友達くらいだろう。
先生が勝手に決めた席替え表を見に行く、
クラスがザワザワとうるさい。
俺は何か妙な気持ちになった。
席は穴山や他の仲良い奴とは遠くなってしまった。
でも竹林さんが隣にいたのだ。
心臓の鼓動をいつもより高度に感じた。
すぐに席替えをしたいような、
でもしたくないような、
なんとも言えない気持ちになったのだ。
「お前災難だなー!あんなオバハンと隣になっちまうなんて」
穴山は竹林さんのことが本当に嫌いだ。
俺は竹林さんのこと…よく分からない。
「まあ、いいだろ、人間色々だしな!」
好きかどうかはさておき、無難な返答に限る。
そう思いなんとか穴山を抑えた。
席替えしてから1時間目。
数学だ。
いつも自由気ままに構えているのに、
今日はなんだか真面目に勉学に励む気分だ。
何か頭でも良くなったんじゃないかと勘違いするほど真面目に授業を受けた。
何が原因かは分からない。
2時間目。
次は国語だ。
ここで竹林さんが教科書を忘れたと言うので机を近づけた。
竹林さんの長い髪の毛がたまに当たってくる。
何故女子はこんなにも髪を長くするのであろうか。
短くした方が楽であろう。
そう心で愚痴りながら何故か髪が僕に当たるたびに心臓の音が響いてくる。
「今日変だぞお!」
穴山は授業が終わると真っ先に僕にそう言った。
「確かにな」
僕は肯定した。
「なんかあったん?」
何があったかと問われれば何もない。
強いて言えば席替えをしたくらいだ。
「分かんない。なんか心臓がすごい。」
そう言うと穴山はこの世の底を見るような目でこっちを見た。
「お前、竹林のこと…?」
頭が真っ白になった。
これが恋なのかと震え出す。
今までよく分からなかったがいざそうなると拍子抜けだ。
「んなわけ」
これが恋だったら意外にも美しくない。
これじゃまるで性欲にまみれたおっさんだ。
恋とはさらに美しい。
シンデレラや白雪姫、美女と野獣のような美しさだ。
「そっか…悪かったな!」
僕は竹林さんを見た。
でもいつもと違う。
なんだか辛い。
6時間もの授業が終わり、掃除だ。
うちのクラスは掃除当番を班ごとに決めていた。
そのため竹林さんと窓を拭いた。
いつもならもうサボっている時間。
だけど今日はどうしても窓を拭きたかった。
こんなのすぐに辞めたい。
辞めて穴山たちとしょうもない話でもしたい。
でもできなかった。
「ねえ、真田くん」
竹林さんが呼んできた。
僕は今まで以上に嬉しかった。
「何?」
あーやべ、笑顔が…
「誕生日いつ?」
なんか、妙に期待してしまう。
「来週の月曜日」
竹林さんは結構びっくりしていた。
なんか…
「そうなの!?じゃあ誕生日祝わなきゃ!」
やばい…
「じゃあ来週の月曜日、お楽しみにね!」
一言一言、胸が痛くなる。
これが恋なんてきっとない。
僕はまだ恋していないんだ。
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