康二side
期待したらあかん。期待しても、ええことなんかひとつもない。絶対そんなわけないって思っとるのに、期待してしまうのは何でなんやろか。
蓮『俺は、康二のことが』
鼓動が早くなる。期待なんかせえへん。もしかしたら、なんて思ったらもっと、苦しくなってまうから。
だけど、期待は拭っても拭っても滲み出てきて。
蓮『康二のこと、好きなんだ』
しばらく間を置いて、…と思う。と付け足すめめ。
……なんでめめはいつも、俺が欲しい言葉をくれるんやろか。迷惑かけてばっかで、俺は何にも応えられへんのに。
蓮『だから守りたいって思うし、頼って欲しいって思ってる。』
俺もめめが好きやって言いそうになる。でも、俺は伝えたらあかんから。めめをこれ以上巻き込むのは嫌やから。
康二『……うん』
やけど、自分に嘘は付けんくて。断ろうとしたけど、相槌を打つことしかできんかった。
蓮『……康二は、俺の事どう思ってる?』
俺がめめのこと好きなのを見透かしとるみたいに聞いてくる。そんなの、分かりきっとることやん?
康二『…好き、やよ』
言った。言ってしもた。伝えたところで、めめを傷つけるだけやのに。握られている手に力が篭もる。
目を見開いて、何か言おうとしためめを遮るように、
康二『めめのこと、ずっと前から好きやった。』
大好きや。ちょっと天然なところも、頭が弱いとこも、ほんまに、ほんまに優しいところも。
でもな、だからな。
康二『でも、付き合ったりは、できへん。』
蓮『……え?』
なんで、と言いたそうにしているめめを見て哂う。
そりゃそうよな。両想いやと思ったら振られるんやもんなぁ。ごめんな、めめ。
康二『めめのこと、巻き込みたく無いんや』
俺と一緒におっても、幸せにできんから。だから、最後は笑ってーーー
蓮『……んでだよ』
康二『え?』
蓮『なんでそんな、1人で抱え込もうとすんだよ……っ』
俺の拳にめめの雫が落ちる。
なんで、めめが泣いとるん……?
蓮『いつも辛そうな康二見てるしかできなくて、それが、すごい不甲斐なくて』
想定外の出来事に、俺の頭はフリーズしたまんまやけど。間違えとったんやな、ってことはわかった。
今まで迷惑かけないように、心配させないように必死に隠してきたことできっと、それ以上に苦しませてたんやなって。
後悔と申し訳なさで、心臓が締め付けられる。
蓮『好きだから守りたいし、守らさせてほしい。』
めめの真っ直ぐな想いにいつの間にか雫がこぼれ落ちる。
康二『こんな俺でも…っ、いいん…?』
迷惑いっぱいかけるし素直になれへんかもやし、めめのことまた傷つけるかもしれんよ、?
蓮『いいよ。そんな康二が好きだから』
俺、いっぱい間違えたけど、幸せになってもいいん?結ばれてもいいん?
蓮『俺が幸せにするから』
なんやそれ。めっちゃイケメンやん。
そうやって涙声で突っ込んだら、めめは笑って、
蓮『愛してるよ』
なんて言うから。
康二『……おれも』
その日は久しぶりに、心から笑えた気がした。
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