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ステータスは極振りで決まり！

第14話 - 一章　VSキングレオ①

2025年05月13日

#一次創作

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捨てられた消しカスの化身

プリンが取り巻きを対処してくれてる間に私もできるだけコイツにダメージを与えておかないといけないんだが、かなりキッついなぁ。というのも相手は獣でしかも肉食獣がベースなため近接攻撃がまぁ痛い訳だが、私は職業（ジョブ）が魔法使いなために物理攻撃にめっぽう弱いし機動力もお世辞にも高いとは言えない。なので、近づかれて殴られでもしたらお陀仏なわけで…。そのくせしてコイツ魔法も使えるらしくて現に子分を呼ぶ魔法を使ったという事は初級魔法程度は全部使えると思ってよさそうだな。

魔法の撃ち合いになっても私が勝てる確率はそんなに高くない。純粋に魔法を撃つためのMPに差があるのもそうだが、恐らく練度はあちらの方が上だろう。私は火属性ばかり使っているのでこれは最大まで練度を上げれているが他はからっきしダメで使えないし、仮に相手も同じ属性で同じ練度だとしても基礎ステータスは相手の方が上なら相殺はなく、一方的に通されておしまいだ。逆に言えば真っ向からやり合わなければこちらにもワンチャンがあるということ。私の一番の武器はいくつかある属性のうちの一つ【火属性】でありこれをぶつけることが出来ればダメージは与えられる。ここからの戦いは如何に私の得意を相手になすりつけかかどうかという戦い。

私の持ってる手札は初期から使える四種の初級属性魔法。【火属性】【風属性】【土属性】【氷属性】の四種類。

メインで使う【火属性】の魔法の特徴はオーソドックスな性能という事。消費MPが少なく扱い易い直線上に火球を飛ばしたり扇形に火の粉を散らしたりと単体や集団戦にも使える本当に扱い易い魔法だ。まぁ、初級魔法なので威力は低いし火球を飛ばす魔法もそこまで早くないし来ることが分かれば左右に移動するだけで避けられてしまうそんな魔法。一応私は【魔法複合】によって威力を上げたり操作できるようにはなってるが速度が足りず逃げられて襲われるのがオチだろうな。

次は【風属性】の魔法だが、これは対集団戦に特化したものだ。今回みたいに一対一での戦闘には適してないし、なんなら初級程度では火力が足りない。というのもプリンが獲得した【つむじ風】よりも少しダメージが高く一度で複数生成できる程度の差別化なので現時点では活躍の場は少ないだろう。

【土属性】の魔法は一風変わっており、地形依存の罠魔法という位置づけらしい。どういうことかと言うと初期から使える土魔法の【ソイルニードル】は地面が土でないと発動できず、発動させると敵一体を対象に地面から複数の円錐を生やして串刺しにする結構えぐい技ではあるが条件付きである上に起動する時相手の立ってる地面が揺れてその後に生えるので決まる事はほとんどない。もちろん決まれば今覚えてる中では一番の攻撃力ではある。決まれば……。

最後は【氷属性】となるのだが、さっき確認した風属性が対集団戦に特化した魔法ならば氷属性は対個人戦に特化した魔法だ。火属性と同じように直線上の敵に氷柱のようなものを飛ばす魔法しか今は無いがこれが強いらしい。実際火球を飛ばすよりも速度が出てるし脆い敵なら貫通もするだろう。ただし、消費MPは火球よりも高く連射は効かないため、牽制とかでは使えず、ここ一番で使うのが良さげな魔法というイメージ。

これら四種を上手く使い分けて戦闘する訳だが、どれもこれも正直そんなに強くないことが改めて分かった。使いやすいが威力が物足りない【火属性】に、単体に対しては無力な【風属性】。地形依存の【土属性】に消費が激しい【氷属性】。あれ？もしかしなくても私勝算が薄いな？覚えてる魔法も少なくスキルもそんなに良くないし、防具は貰ったものがあるとはいえ貧相…。マジで勝算が薄すぎるんだよなぁ。とはいえ、そんな限られた手札で善戦する、なんなら倒せたら脳汁えぐいだろうし、やれること全部やってそれでダメならプリンが文字通り殴り殺してくれるだろう。うん、そう信じてやってみるか。まずは練度の低い魔法達を実際に使ってみよう。効果的にこの3つを使うとなると……。

「まずは【風属性】の範囲攻撃『ウィンドウォール』でお気持ち程度の壁を作り、この間に『ソイルニードル』を展開。対象はキングレオ一択！あとはコイツが私の考える方に避けてくれれば……。」

作られた風の壁を少し警戒したと思えば足元が少し揺れたのを感じとり即座にその場を離れるために空に避難する。

「私の思い通りに移動してくれて助かるわぁ。あとは狙いをつけて『アイスランス』をぶっぱなす！」

空に飛んだキングレオ目掛けてアイスランスを放つが速度があるとはいえ普段使ってこなかった魔法のためか精度があまり高くなく奇襲に成功するが本体から外れて右翼の真ん中を貫き空中で留まれないようにするのが手一杯だった。

「ちっ…。使ってこなかったツケが回ってきたのか。」

右翼を撃ち抜かれたキングレオは飛ぶことが困難になり地上に着地したあとミーシャを睨みつける。そして後ろ足に力を込めたと思えばその力を解放し一気に距離を詰めて前足でミーシャを叩きつけようとするが一度目と同じように爆破魔法を地面に放ちその反動を使って回避に成功する。

「ゴホッゴホッ…。まさかまた爆破魔法（これ）を使う羽目になるとは……。｣

爆破魔法なんて言ってもこれなんちゃって爆破魔法で、【魔法複合】によって『ファイア』と『フレア』を掛け合わせただけの普通の複合魔法なんだよね。

意図的に複合ミスを起こすことで『爆破』という属性を出しただけでこれを遠投とかは出来ないのと調整ミスれば普通に自分にもダメージが入るリスキーな技ではある。ま、土壇場で出来ちゃうあたり私は天才だな。

けども右翼を思いっきり貫いちゃったから激おこだよねぇ？明らかに彼の水晶体には私しか写ってないでしょうし、プリンからの援護もまぁ期待はしちゃいない。つまるところマジで一人で頑張らないといけない訳だが、今の攻撃を回避した事で私の大事なスキルちゃんの事を思い出した。【魔法複合】とかいうワンチャン製造機の存在をね？では、これを使って初期魔法四属性でキングレオを手負いにする！そして出来たら倒したい！目標なんて低く低く設定するに越したことないんだから。

んじゃ、【魔法複合】をこれより開始する！