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私の手札は四種の初級魔法と【魔法複合】というスキルにポイズンスパイダーからのドロップ装備である『毒蜘蛛の毒脚』くらい。毒蜘蛛の毒脚をアイテムとして使うといくつかある効果のうち一つが適応されるのだが、ランダムな上にそれがキングレオに通じるか分からない。通じそうなのは【毒の糸】くらいでこれも少し遅延できるかどうかって感じ。なので、基本的にはこいつは択に入ってこないかな。となるとやっぱり四種の魔法を駆使していかないといけないわけだが、どの組み合わせが強いかどうかは分からないが個人的に強そうだと思う組み合わせは【風】と【氷】の二種の組み合わせだな。竜巻の中から氷柱を飛ばすことでさらに速度を上げて貫通力を増すという組み合わせ。これは強い(確信)と、思いがちだがコレには一つ致命的な弱点がある。それはこれを発動させると氷柱がランダムで飛ばされること。そう、制御ができないのだ。竜巻を放つが最後その竜巻は直線上に動いてそこから氷柱が飛んでいくという仕組みになるのだ。威力は申し分ないだろうが制御が出来ないので消えるまで無差別に攻撃を繰り返す殺戮マシンみたいになるのが弱点である。つまり、使えないということだ。
これも魔法の種類が増えればまだ改善の余地があるだろうが、今はそんな悠長なことを考える暇は無い。【氷】と【風】がダメなら【土】と【火】という組み合わせならどうだ?『ソイルニードル』は発動前に地面が揺れるという欠点があり大抵は避けられてしまうのだが、それを利用するのだ。『ソイルニードル』が発動し棘が現れると同時にそこから『フレア』か『ファイア』が飛んでいけば相手の『虚』を突いた攻撃に変わりダメージを与えられるだろう。まぁ仕組みがバレちゃえば一度きりの技かもしれないがこれが決まれば次の一手も打てる。【土】と【火】の組み合わせでは決定打に欠けるためこれとは別の組み合わせも必要だ。ほかの組み合わせでなんとかダメージを与えられそうなのは…。
「【風】と【火】を組みあわせて炎の風、『炎風』の中に閉じ込めれば風によって皮膚を切り裂き、炎で炙るという拷問みたいな魔法が強いかと問われればまぁなんとも言えんが少なくともこの辺の雑魚は余裕で倒せるだろうな。あとはよく創作物で見かける水蒸気爆発だよな。あれよく使われるけど現実的じゃないよな。そもそも私【水】を使えないしね。とりあえず今思いついた技を使ってみるか。」
【魔法複合】を発動し【土】と【火】を複合させ先程考案した魔法を作り出しそのまま発動させる。先程の件もありほぼ100の確率でアイツは『ソイルニードル【火】』を避けるはず。そしてその際空を飛んで失敗したことから地上での回避を選択するだろう。そこで【魔法複合】によって作られた『ソイルニードル【火】』が真価を発揮し、避けた先にファイアを飛ばす。この流れが組まれてる間に私は『炎風』の準備をして直ぐに放てるようにしておけば炎風の檻の中でダメージを与えられるはず…。ダメージが仮に入らなくても時間は稼げる。その間にまた新たな【魔法複合】で追い打ちをかければいいんだ。頼む!私の想定通りに動いてくれ!
しかし彼女の想定通りに行くはずはなく、同じ手口を使ってきたミーシャに対してキングレオは避けるではなく『対抗』という手段を取ってきた。『ソイルニードル』を使うのならばこちらも同じく『ソイルニードル』を発動させる。更にキングレオは自身の背後に魔法陣を複数形成し『アイスランス』の準備を始めた。その間ミーシャが仕掛けた『ソイルニードル【火】』はキングレオを貫きファイアで燃やされるが不動の構えを取り、お構い無しに魔法の発射準備を始める。
「おいおいマジかよ!?私の思案してた時間を返せよ!!?」
ミーシャの立つ地面が揺れそれに反応し後ろに下がって避けるがその動きを見て、背後に浮かぶ魔法陣から『アイスランス』をこれでもかと放ち始める。身を守るために先程作った『炎風』を発動させ飛んでくるアイスランスの起動をずらしつつ、炎を纏う風なのでさらに氷も溶かしていき自衛には成功する。
「クッソ!ただこれじゃあ前が見えないから相手の行動が探れない!近づかれでもしたらおしまいだけど、ソイルニードルをもろ喰らってその上にファイアで焼かれてるんだ。無闇に突っ込むほど相手も馬鹿じゃないはず…。現に魔法で対抗してきたのがいい証拠だろう……。だが、ジリ貧で私が負けるのは確実だ。私一人でアレコレやるにはこの辺が限界…。そろそろプリンちゃん帰ってきてもいい頃よ?」
そんな事を言ってると再び地面が揺れ始め、すぐさま左に前転して回避する。が、それが陽動だったらしく防御手段として使っていた炎風から離れたことで身を守るものを無くす戦法だったようだ。キングレオの方を見てみると炎系のブレスを吐く三秒前と言ったところだろう。ここから【魔法複合】で『ファイア』と『フレア』を掛け合わせた魔法を作ってブレスに投げても火力で負ける時点で相殺は出来ないだろうし、ほかの属性同士で壁を作っても多分体力と防御力的に生存は不可能というのも察しがつく。つまるところ詰みと言うやつだ。
「かぁ〜なるほど?してやられたねぇこれは。そうだよなぁ、隠しボスなんだから近接、魔法攻撃、特技、その辺は使えて当然だよなぁ……。私が使えて相手が使えないわけないもんな。いや〜、負けから得られることが多いこと多いこと。次の私はこうはいかねぇからな可愛げのないボス猫が!」
「捨て台詞は吐き終えたかなミーシャちゃん?」
その声と共にキングレオの背後から飛び上がり負傷している右翼を切り落としブレスのキャンセルに成功した後ミーシャの前に立つ勇ましい彼女の姿があった。
「どぉ?このゲームでの私運動神経抜群だし仲間の危機に現れるこの感じ、騎士様っぽいでしょ?」
「……アンタが男だったら惚れてたかも。」
「じゃあ良かった私女で。アンタみたいな悪運強い女に好かれたんじゃたまったもんじゃないからね。」
「…ふんっ。台詞は全く格好よくないわね。減点かも?」
「逆にアンタは自身の負けを認めて死を受け入れる姿が格好良かったから加点かも?」
「捨て台詞を吐き終えたかとか言ってた癖してね…。」
そう言いながら彼女の手を借り起き上がったあと土埃を落として再び杖を構える。
「んじゃ、とっとと片付けて経験値稼がせてもらおうかな!」