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「ふぅ……お姉様、まだ気を抜かないでくださいね」

そう言われて、そういえば私とシェナ以外は、全員人間だったんだということを思い出した。

「うん。……でも、もう大丈夫そうではあるけど」


何かを察したのか、ウレインと国王は両手を上げて、降参のポーズをとっていた。

それを見て、生き残った護衛二人も真似をした。

ついでに、彼らは剣を捨てて首を横に振って、何もしないというアピールをしている。


「話の分かるクソブタであり続けなさい。そうすれば、今のところは殺さない」

シェナは、普段はとっても可愛いのに、人間に対しては辛辣さを増しているなぁと思った。



「……そろそろ、魔王さまが迎えに来てくれるわよ。こっちにおいで」

と、言い終わる前にシェナは、そう言われることをすでに察していて、すでに私の方にトコトコと来ていた。


こんなに可愛い子なのに、こんな辛い思いをさせては、いけないなと思った。

頭を撫でてあげると、嬉しそうに自分からも頭をスリスリとしてくる。


「お疲れ様。偉かったわね」

「はい。私はおりこうなので、全部は殺しませんでした」

「うんうん。とっても偉いわ。ほんとなら、気分のままに全員殺したかったのにねぇ」


いつの間にか、シェナの気持ちが心から理解出来るようになっていた。

生かしている意味があるのかどうか疑問である、その存在を生かしておいた。

それはとても我慢が必要なことと、だけど私がダメという基準に準じて、それを守ったことに対して褒めてほしいということまで。



「お。ここの刺客はシェナが倒したのか。偉いぞ」

「魔王さま――」

「魔王様ッ!」


不意に、後ろから腰ごと抱き寄せられた。

だけどそれは、すぐに魔王さまだと分かって、腰に回された腕が嬉しくて。

振り向きざまにかけた声は、もしかすると色声になっていたのではと思って、顔が熱くなった。


「あれ。お姉様、顔が赤いです。お熱ですか? すぐお休みにならないと」

「ちょ、ちょっとちがっ、大丈夫だから。ね?」

一瞬、首を傾げたシェナだったけれど、すぐにハッと何かを察したようで、フイと目を逸らされた。


「ここでも謀反にあったか、国王。第一王子の手は、ついそこまで伸びていたようだな」

まさしく寝首を掻かれなかっただけ良かったじゃないかと、魔王さまは笑った。


「……奇しくも、お主とその部下に守られる形となった……。礼を言う……」

元気はないけれど、国王はちゃんとお礼を言った。


言われてみれば確かに、ミサイルからは魔王さまが守ったし、今狙われたのは私だろうけど、一緒くたに狙われていたと考えるのが自然だ。

護衛による暗殺もミサイルと同じで、私共々に殺そうとしたのは間違いないのだから。



「それよりも、ウレインだったな。あの戦船は一体何だ? かっこいいじゃないか」

魔王さまは、第一王子のことについては何も言わなかった。


話を逸らすためなのか、ウレインに戦艦のことを聞き始めた。

腰に手を回されたままだから、私も一緒に聞く羽目になっているけど……。


「あれは私の故郷、日本という国の大戦艦、大和という戦艦を模したものでして。それを、時代を超えた新兵器を、形を似せつつも軒並み積み込めないだろうかというコンセプトで造り上げた力作でして!」


ウレインも、説明しながら熱が籠ってきたのか、声に段々力が入ってきている。

……これは、話が長くなるやつなのでは?


聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~

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