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ズィナミに促される形でメルルメノクが語った話は正しく緊急事態と言って憚らない内容であった。
致死の魔力が溢れたハタンガを越えた東の果て、その北部に竜王の里は位置している。
この里はギレスラが生まれ育った様な各地に点在している竜の生息地とは全く異質なものなのだ。
竜達は祖に両生類と爬虫類、僅かに原初に近い魚類を持っている。
彼らが好む生息域は、自然それぞれの祖が生きてきた環境に近い場所を選んでいったのである。
純粋な爬虫類、水中で呼吸する事が出来ず、変温故に、豊富な日照と一定以上の気温を必要とした竜種が集っていた里こそが、今は帰る事も出来ないハタンガに広がる竜の里、ギレスラの故郷、竜の楽園である。
無論、同様の楽園は世界のあちらこちらに点在していただろう。
ご存知の通り、地球には温暖な水辺や、地熱に溢れた温泉地、火山活動が盛んな地域はこの時代でも尚多いのだ。
振り返ればこの命の熱を齎し続けている切欠は、原初から繰り返されているディープインパクト…… つまり天体衝突による地殻やマントルに対する壊滅的な破壊に他ならない事は、皮肉、そう言うしか無いであろう。
極寒の地で自らを鍛え続けるニーズヘッグにとっても命を育む最低限の熱は必要だ。
竜の里のそこかしこに湧き出ていた熱と温水が彼等を生かしてくれていたのである。
対する竜王の里、そう呼ばれる地は生きる事が否定された場所、そう呼んでいいだろう。
湧き出す熱は温水や蒸気ではなく、あらゆる生き物の生存を許さない火山のマグマと高熱のガスである。
周囲には食料となる植生や動物の類は乏しく、この時代の主役であるモンスターさえも好んで近づいたりはしない、正に不毛の地がその正しい姿であった。
そんな場所を住処に選んだ竜達の理由は共通している。
シンプルでありながら複雑極まりない理由、信仰心である。
彼等のそれは勿論ニンゲンが抱く心情とは大きく違っている。
祖霊を祀る事や神仙に祈りを捧げたりはせず、独自の神を竜神として崇め、厳しい修行によって自らその高みを目指す事を目的としているのだ。
そう聞けばヨーガや道教、修験者等と同様に思われるかもしれない。
しかしこの地で暮らす竜達は進化の順もなにも度外視して、爬虫類や両生類の裔である自分達の本質を変えようとしているのだ。
古代に実在した竜に似た姿を持った神々と同種になるべく厳しい鍛錬に明け暮れているのである。
そう言う意味ではウィッカみたいなウィッチクラフトや人気映画の○グワーツみたいな性質が強いとも言えるだろう。
若しくは学習塾やスポーツ教室でも良いかも知れない、いや、難しいと言う意味では忍者学校や○メハメ波道場の方が幾分近いかもしれないが……